Aika

ネバーランドのAikaのレビュー・感想・評価

ネバーランド(2004年製作の映画)
4.0
ピーターパン誕生物語。
ミュージカル版の舞台を観にいくことになったので予習として鑑賞。

ピーターパンを生み出した劇作家バリ役はジョニー・デップ。なのでそのうち過激な化粧をして奇抜な衣装着たりするのかと思ったらそんなことは全くなく、涙なしでは観れないとことん優しい作品でした。

作家として成功していながらも表現者として鬱憤がたまっていたバリは、ある一家と出会い想像力を取り戻し新しい作品を創り出す。それが「ピーターパン」だった。

ディズニーの脚色されたストーリーの方が馴染みがあるので誤解してたけど、ネバーランドは大人になりたくない子供が行くところではなく、信じることを決して諦めなかった人が行けるところ。

もちろん妥協することも時として必要なことだけど、それが″諦める″や″大人になる″とイコールになるのは違うんだよ、と優しく諭された気分になりました。
とにかく良い話。

251/2017


と言うことで先日、来日版ミュージカル「Finding NeverLand」を観てきました!
(思うがままに書いてたら驚くほど長文になっちゃったので、興味ない方はスルーして下さいね…)

gleeのマシュー・モリソンの出世作として有名な作品。
年末にかけてミュージカル出費が凄まじいのでスルーする予定だったんだけど、先日舞台に出演する子役ちゃん家族とたまたまお会いするというラッキーな出来事が!
私は仕事中で向こうはプライベートだったのでそれほど話したわけではなかったんだけど、舞台観てればもっと話せたしこれは観るべきだという啓示なのでは…と思い込み、千秋楽前日に何とか席を確保!

そして数日間で何とか曲を叩き込み、前方端っこ見切れ席からの鑑賞だったんだけど、これが今まで観たミュージカルの中でトップクラスに素晴らしかった…溶けるほど泣いた。直感に従って本当によかった!!!
もし今何のミュージカルを観るべきかと聞かれたら間違えなく今作を推します。

と言うことで、良かったところまとめ↓

①映画発のミュージカルなのに、映画版より脚本がしっかりしている。
バリの中の子供心はピーターパンに投影され、フック船長は自分のあり方に迷った時に現れたワイルドで大胆な自分の化身、そして現実の自分は大切な人たちのために成長していかなくてはいけない、というバリの心の動き方とキャラクターが生まれた経緯がわかりやすく描かれ、それに伴う曲も素晴らしかった。
映画版はどちらかと言うと子供目線で描かれているので、バリは口数が少なく、この人何考えてるのかな…と思うシーンが多かったし、キャラクターの誕生の背景は曖昧だったのでスッキリ。

②舞台演出が飛び抜けてよかった。
来日公演はテンポラリーな舞台になるのでそれほど凝ったことはできないんだなと今までの経験上思っていたけど、本当に魔法がかかっているかのような演出の連続。シアターオーヴであんな仕掛けができるとは驚き、瞬きするのも惜しく感じたほどだった。
プロジェクションマッピングを使ってロンドンの街を作り出し、そこに窓をひとつ置く。
それだけでその窓から広がる世界の広いこと!
そしてみんなが期待する″飛ぶ″という演出をとことん引っ張ることで、最後の感動がひとしお。私の周りでラスト泣いてない人いなかったと思う。
演出のダイアン・パウルスは今BWでも引っ張りだこの人気演出家。この人の舞台はこれからもマメにチェックしなくては!

③光と影の使い方。
ピーターパンでキーワードとなる影を生み出すためにゴーストライトを舞台に置くことによって、とても効果的に、そしてロマンチックなシーンに映える影を作り出していた。
そして光は愛や命の象徴として使うことによって、その温かさがこちらまで伝わってくるようだった。ティンカーベルが誕生した瞬間は、映画版の話をうまく膨らませていたと思う。

④キャストがよかった!
来日公演はトップスターは来ないのは仕方ないことだけど、今回は全員うまかった。ここまで安心して聞いてられる舞台はあまりない。
観た後キャストのIGをチェックしたら、「日本の観客はカーテンコールの途中で帰ろうとする人が一人もいない。最後まで舞台との一体感を大切にしてくれるのが本当に嬉しくて、鳴り止まない拍手でカーテン裏で泣いていたキャストもたくさんいた。」言う感謝の言葉と映像を上げてくれていて、それを観てまた泣いた。そこまでキャストが言及してくれることなんて滅多にないので、このIGはミュオタの中でかなり話題になりました。ミュージカルファン冥利につきます…!


観た後サントラを聴いていても楽曲が特別優れたものではないと私は思う。
それでも歌と演出、ストーリーが舞台で合わさり相乗効果によってまさに魔法を生むようなミュージカルは初めて観た。
今回の日本での公演は残念ながら終わってしまったけど、まだツアーは続いているし再来日したら一人でも多くの人に観てもらいたいと心から思う素晴らしいミュージカルでした!

自分の記録として残したかったんだけど、そんな場所もなくてついフィルマ使ってすみません…笑
Aika

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