なぜだか分からないが文明が崩壊し、動物達が死滅した世界。父と子は僅かな希望を信じ南へと旅を続ける。
全ての風景が灰色で希望が全く見えない世界。さらに一部の人達は人食いとなり自分達を襲ってくる。スプラッター描写はないものの灰色の世界に残る血痕だけで怖い。
そんな中で親子は人間性を失わず希望を持って生きようとする。だが、子どもを守る為に親は非情になろうとし、それを子どもに責められる。その親子の対話の重みが胸に残る。
これは起承転結を楽しむ様な映画ではない。ただただその世界を味わう映画である。
どんなに絶望の中にあっても希望という火をつなぐことはできる。重い映画だが、少しだけ希望を感じさせるラストがいい。