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それでもボクはやってないのmanamiのレビュー・感想・評価

それでもボクはやってない(2007年製作の映画)
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キャストが全員、一人残らず役にぴったりはまってる。わざとらしい災いも仰々しい盛り上がりもなく、冤罪の汚名を晴らそうと闘う主人公の上にただ淡々と不幸が積み重なっていく。
きっと、女性と男性とでは、鑑賞しながら思うことがまったく違うであろう作品。
それに、都心の朝のラッシュを日常的に経験したことがあるかどうかによっても、感想が違ってくるかもしれない。あのギュウギュウの車内、少なからず険悪な雰囲気。「殺人的」なんて表現もされるけど、この作品ではまさにあの異常な乗車率が大きな原因となって、一人の青年の心を殺していく。あの状況なら、自分も痴漢の罪を着せられかねない。あの状況なら、自分も痴漢の犯人を間違えないとは言い切れない。
観ている間ずっと、いろんな苦しさがグルグルと心の中をかき乱していく。
法廷に入ってきた息子の手元に目をやるもたいまさこの表情が秀逸。

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