排路

革命前夜の排路のレビュー・感想・評価

革命前夜(1964年製作の映画)
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ヌーベルバーグの影響をもろに受けたイタリア映画

記録映画っぽくなってるから、カメラが全知全能なのが普通で、客観的な観察者みたいな感じになるんだけど、ヌーベルバーグを信頼しきれないのは、その全知全能さを好きなように編集して、個人的なものにしちゃうからなんだとと思うが、これは観ていて精一杯だった。登場人物をコントロールしてる感としてない感が混在してた

好きなシーンもあれば解せぬシーンもある。個人的なものにするためにクローズアップをいっぱい使ってるわけだけど、このクローズアップには悩まされた。なんかクローズアップあるいはカメラそのものによってわざと現実の複雑さをでっち上げてる感じがするシーンも多々あった。俳優や彼らの周りのシチュエーション展開によって現実の複雑性を表現すべきなのに、なんかクローズアップが前提になってる感じがした。

あとやっぱこの映画とかヌーベルバーグ期の映画ってカメラに対して不満を抱かなかったのか疑問。時間を担保するカメラによって生を強制されてるのに。たまには反抗してもいんじゃないって思ってたから、冒頭の自転車でこけまくるシーンは割と好き。上手く捉えられてないし、最初の方若干カメラ目線な感じするし、断片的だし。時間の概念を超越してる。その先にあるのはやっぱり美しさだ…音楽とも良い相性
断片的がゆえにカメラをあざけるように自由を享受していたアゴスティーノが1番かっこいい。まあ時間の枠組みから解放された先にあるのは永遠だと思う…
つまり真の自由は死なのか…

あと主人公がジーナに「今も僕を愛してる?」って聞いたあと、甥っ子の主人公に寄り添うジーナ(叔母)のクローズアップは良かった。大胆な編集だけど、共感できるし。その前はカメラが映る中でちょこちょこ動いてたからそれとのギャップも良かった。
あと、あえて見せないっていうのもよかった。画面外にいる主人公を。ジーナのシーンの時に。
だが、話は全くわからなかった。でも我慢してみる価値はあった気がする。

いづれにせよ、弱冠22歳でこんなわけのわからない映画を作ったベルナルドベルトリッチは天才である
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