浅野公喜

4匹の蝿の浅野公喜のレビュー・感想・評価

4匹の蝿(1971年製作の映画)
3.8
あるドラマーが何者かにつきまとわれ、あやまって殺害。するとその現場を覆面の人物に撮られ、それ以降不可解な事件が周りで起こりはじめるダリオ・アルジェント監督による初期の動物三部作最後を締める作品。昨年20周年を迎え、昨日行われたアルジェント研究会で少し久々に鑑賞しました。

ギターの丸い穴からバンドメンバー達を映したり、ハイハットシンバルで締める独特のアングルのオープニングから印象的。公園に居た人達が音楽が止まると瞬時に消えたり、「ゲームのミッション開始前の説明的な」車のエンジン音はそのままに主人公がこれから向かう目的地の場所が先回りと言わんばかりに映される独特の演出は改めて観ても斬新で、主人公を手助けする人物が登場すると唐突に「ハレルヤ~」と響き渡ったり犯人と勘違いされる郵便配達員、ろくに事件を解決したことがないオネエ探偵といったコミカルな要素&役回りの存在も面白く、後者に至っては「最後の最後で・・」という彼なりのドラマが一応成立してしまう充実ぶり。

犯人の動議は結構単純で殺人の描き方なんかは後の作品と比べるとさらっとしてたり、一つ一つのシーンは冗長な印象さえ有るのですが階段滑りの殺人も悪く無く、モリコーネのBGMが非常に効果的なラストのクラッシュはただただ美しくこれだけでも一見の価値あり。

主人公の嫁を演じるのはアメリカ人ながらこの頃ヨーロッパ映画の出演が目立っていたミムジー・ファーマー。
浅野公喜

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