今まで観た全員集合シリーズの中でも最も粗の多い作品で、オチも『誰かさんと誰かさん…』の一種清涼感ある雰囲気と比べると、不吉で中途半端で全然スッキリしない。ただ、初期全員集合シリーズでは可哀相な位理不尽に虐められてたカトちゃんが少し強くなって、長さんの虐めも大分マイルドになり、今までの不快感を覚えるほどの虐待がなくなった。
よりファミリー向けになった感はある。
本作は長さんをほぼ完全に主役に据えて、今まで準主役だったカトちゃんは疎か、高木ブーや荒井注も殆ど出番がないし、仲本工事に至っては後半まで登場しない。ただ、前作までの無理やりドリフメンバー一人ひとりに出番を作るやり方よりは、最後に全員集合の見せ場を作る本作の演出の方が見易くて良い。
前作「ツンツン節だよ全員集合」では散々な扱いだった準レギュラーの左とん平がなんと本作ではメインヒロインを射止めている。このシリーズにおける左とん平の扱いが段々分からなくなってきたよ……。
ゲスト陣で特にインパクトが強かったのは石山健二郎演じる「いかにも」なヤクザの親分。どっかでみたなと思ったら「天国と地獄」のボースンだ！
言うまでもないが、この映画最大のポイントは三遊亭圓生、柳家小さん、桂文治など、錚々たる噺家が登場することだろう。マニア垂涎なちょっと変わった趣向のお祭り映画なのだ。この映画で起こる「ある出来事」が後の落語協会分裂騒動を予見！とかこの映画の予告CMでも騒いでたけど、考えすぎじゃね？
長さんが道具屋や二十四考を演じる所なんかはなかなか貴重で観る価値はある。そういう落語好きには堪らない映画。
