Maoryu002

きみに読む物語のMaoryu002のレビュー・感想・評価

きみに読む物語(2004年製作の映画)
4.9
こんな素晴らしいストーリーがあるんだと感心、感動させられた。
ラブストーリーの生涯ベストテンに入る映画。

養護施設に入所している老人デュークは、日々、認知症の老女に物語の読み聞かせをしている。
それは昔、10代の青年ノアが魅力的な女の子アリーに出会い恋に落ちる物語。
その話を聞いていた老女は、それが自分と夫の話だと気付き、夫であるデュークを抱きしめる。しかし病で自己認識は長くは続かない。そんな二人は無意識に自分たちの人生の結末へと向かっていく。

ライアン・ゴズリングもレイチェル・マクアダムスも、実は好きな俳優というわけではないが、この映画に関しては手放しで絶賛だった。
さらにはジェームズ・ガーナーとジーナ・ローランズの掛け合いはいちいち涙なくして観られないものだった。監督がニック・カサヴェテスだけに、家族優待に見えるかもしれないが、このキャスティングは素晴らしかった。

実は若い二人のエピソード自体は目新しいものではなく、それが老人の回顧録として語られていることに意味がある。
若き日の怒りや悲しみ、ときめきや情熱、過ちなどが人生の終わりにどんな意味を持ってくるのか。そんな日々があったからこそ、人生への誇りや達成感を得られたことを伝えようとしているように思えた。

とはいえ、雨の中の若い二人の熱情溢れる下りは印象的だった。「ティファニーで朝食を」といい「刑事ジョン・ブック」「小さな恋のメロディ」「アバウト・タイム」など、雨の中の情熱的なシーンは数多く、そこに仲間入りするような素晴らしいラブシーンだった。

若者の情熱的な恋愛と、その先の人生を分かち合い終えていく男女の心の様を描き切った、稀有な秀作だと思う。
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