Maoryu002

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのMaoryu002のレビュー・感想・評価

1.8
心臓外科医スティーブン(コリン・ファレル)は過去の手術中に亡くなった男の息子マーティン(バリー・コーガン)と交流を持っていたが、次第に彼は奇妙な言動を始め、スティーブンの息子と娘の身体に異変が起きる。そして、マーティンは妻と子供たち、いずれかの命を差し出すよう求めるのだった。

どんなに作りが上手くても、絶対に好きになれないサイコホラー。

裕福で幸せそうに見える家族の後ろには、常に気味の悪い音楽が流れ、ローアングル、ハイアングルを駆使した映像はいかにもヨルゴス・ランティモス監督。
さらには、心臓、わき毛、フロス、射精と、人間の体の生々しさをこれでもかと見せつける、居心地の悪さはラース・フォン・トリアー作品に近いものがあった。

父親スティーブンは支配者然としていても、何となく家族はギクシャクしているのが見えてきて、そこにグサッと刺してくるのがバリー・コーガン!
コリン・ファレルもニコール・キッドマンも、あの強烈な不気味演技に完全に食われてた。

以下、ネタバレあり。

結局、マーティンは存在していたのか。人間ではない超常的なもの、あるいはその使いだったんだろう。
彼によってスティーブンの罪と傲慢さが裁かれるんだけど、犠牲が本人じゃないってのが気持ち悪い上に、生贄候補の妻と子供たちが本性を見せて保身に走るところもまた不快極まりない。

最後にマーティンに平伏す3人はもう家族でもなく崩壊のみ。あまりに救いのないラストには愕然だ。
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