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きみに読む物語のmのレビュー・感想・評価

きみに読む物語(2004年製作の映画)
4.0
王道な話なんだけど、物語の鍵を本当に握っているのはどこなのかを大学の授業で聞いて、この映画の本当の面白さが分かった。


※以下ネタバレあり※
















最後、アリーがノアと別れて婚約者の元に向かう車が対向車とぶつかりそうになり、急ハンドルで車を停めたあとに、助手席に置いていたノアからの365通の手紙のうち最後の日の手紙を手にし読む。そしてノアのもとに戻ることを決める。つまりここで車とぶつかりそうにならなければ、アリーはそのまま婚約者と結婚していた。

人生の転機は思わぬ形で訪れるし、人の気持ちはちょっとしたことで変わる。

アリーの母は25年前、アリーとノアのように家族の反対を押し切って恋愛をして駆け落ちしたが失敗し、母は今の夫と結婚した。母は今心から幸せだけど、今でも当時の恋人が働く採石場を通りかかるとその頃のことを思い出す。
人生は選択の連続。アリーのお母さんはノアとの結婚に反対したけれど、こういう過去があるから二人を無理に引き離すのではなく、ノアからの手紙も捨てずに隠しておいて、ノアに対するアリーの気持ちが若気の至りではなくずっと変わらなければ読ませて自分で選ばせようとしたのだと思った。

ここからが本題。
最初に見たときは気づかなかったけど、、
母は25年前の恋の話を、ノアと婚約者の間で揺れるアリーを連れて採石場に行ってするのだけれど、このかつての恋人というのが、あとで出てくる「アリーがぶつかりそうになった対向車の運転手」だった。

アリーの車が停まったあとに対向車が走り去る2秒のカットで、その運転手が採石場にいた口髭の男であることが示されていたらしい…

気づかなくても映画は成立するし、感動する話であるけれど、アリーの人生の転機を作ったのは母が25年前に選ばなかった相手、というここに気づくと、物語の深みが全然違う。

気づくか気づかないかの何気ない2秒のカットが伏線を回収してる。
映画のおもしろさって本当にこういうところだなと思った。
ちゃんと映像を読んで100%楽しめるようになりたいな〜。
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