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オレンジと太陽のクリームのレビュー・感想・評価

オレンジと太陽(2010年製作の映画)
4.0
英国が19世紀から1970年まで密かに行っていた、強制児童移民という恐ろしい事実を描いた実話。ケン·ローチの息子ジム·ローチが監督をしています。知らない話だったので、ショックでした。13万人以上の子達が約50年に渡り被害にあっていた衝撃の事実をコンパクトに纏めた素晴らしい作品です。久々に怒りで震えました。

マーガレットは、英国でソーシャルワーカーとして働き、幼少期に養子に出された人々の為、グループセラピー等を運営していました。ある日、豪州からシャーロットという女性が母親を捜して下さいと訪ねて来た事をきっかけに彼女等が過酷な人生を歩んで来た事を知る事になるのでした。



ネタバレ↓



様々な事情から養護施設に預けられた子供達が、秘密裏に労働者として豪州に子供達だけで、移民させられていました。 5歳~15歳位迄の子供が、児童施設から有無を言う機会もなく船に詰め込まれ、運ばれたのです。
1920年代~1970年代まで、50年間に渡り、非道な児童移民が行われ、被害者は13万人以上と解りました。
マーガレットは豪州に渡り、沢山の被害者と面談します。8歳だった女性は、来たその日から40年間、床を磨く以外の生活を知らなかった。
子供達は砂漠の中の修道院に収容され、衣服や靴は1組のみで、それらや食費を借金とみなされ、大人になったら返さなくてはいけないという。 そして、強制労働、虐待、神父による男児へのレイプもありました。
最初はマーガレットに反発していたレイと言う男は、過酷な労働の中から這い上がり、仕事で成功し、お金があった為、私立探偵を雇い親探しをしたが、政府が隠していた為、解らなかった。マーガレットのお陰で母と再会出来ました。
マーガレットは、教会のやって来た事を暴露し、神父による非道な行為を本として出版すると脅迫され、PTSTになる程追い詰められましたが、諦めず活動を続けました。
児童移民被害者に会い、面談を重ね、わずかな資料を手掛かりに、彼らの実の親を捜す毎日。
2009年に豪州首相が公式に謝罪。2010年にイギリス首相が公式謝罪しました。 マーガレットは本の印税で基金を設立し、親が不明な元児童移民の家族を探す活動を続けています。

レイがマーガレットに心を開き、協力して行く中で、「8歳で泣き方を忘れた」と言うシーンは、涙が出ました。彼と一緒に訪ねた施設の立地は、回りに何もなく逃げようの無い場所でした。なんの罪も無い子供を騙して、船にのせ、帰る事の出来ない場所で、強制的に働かせるなんて、人間のする事ではない。久しぶりに映画を観て、怒りで震えました。
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