竜平

トラフィックの竜平のレビュー・感想・評価

トラフィック(2000年製作の映画)
4.1
アメリカとメキシコを舞台に様々な人物の様々な視点から「麻薬戦争」の実態を描いていく。スティーヴン・ソダーバーグによる社会派サスペンス映画。

ベニチオ・デル・トロ、ドン・チードル、マイケル・ダグラス、キャサリン・ゼタ・ジョーンズなどなど豪華キャスト出演。主に3つの「正義」の視点から語られるストーリーで、それぞれの場所・場面ごとに色彩や色調を変えてるあたりがおもしろい。またそれらのエピソードが時折繋がったり交わったり影響し合ったりするという、でも大々的にでなく、ともすれば見逃してしまうかもしれないほどにサラッとなのが良き。スティーヴン・ソダーバーグ作品特有とも言える終始淡々としつつもリアリティーが溢れる作風に引き込まれるはず。とまぁこれは好みか苦手か分かれそうだけども。

にしても、描かれる実態はどこまでもシリアス。簡単に言えば、麻薬カルテルのガチ闇、根深すぎる犯罪の構図や終わりの見えない腐敗具合というもの。そこには犠牲になる者がいて、わけもわからず、というか好奇心から中毒になってしまう若者もいたりして、これは薬物に対する警鐘とも言える内容になってる気がする。で、悪い奴らがのさばってしまう展開なんかにはやっぱり胸糞感もあったりして。そんな中それぞれの戦い方で闇に挑む姿、そこに見える葛藤だったり熱意だったりと、ヒューマンドラマとしても見応えがある。また最後まで描かない、というか恐らく描ききれないんだけども、一筋の希望の光が差すようなラストの落とし所なんかも今作に関しては見事だったなと。じんわりと響いてくる硬派系サスペンス。スティーヴン・ソダーバーグ作品、好き。
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