恋する惑星のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

２組の男女を描いた恋愛映画。

前半は刑事と麻薬の売人の関係をノワール調に描き、後半は警官と飲食店の店員の関係がコメディー調に描かれます。

印象的だったのは、主演俳優の可愛らしさ。
金城武のハードボイルドな性格に反して、どこかあどけなさを残した表情が魅力的だったし、フェイ・ウォンの無軌道な不思議ちゃんキャラも良かったですね。
正直、彼女のやっている事はストーカーと変わらないのだけど、それを感じさせないのは、フェイ・ウォンの愛嬌があればこそでしょう。

あとは、ウォン・カーウァイ作品としては、映像面にも注目したいところ。
個人的には、もっと作り込んだ幻想的なビジュアルを期待していたのですが、むしろ正反対の手持ちカメラによるラフなショットが多め。
ゲリラ撮影で即興的に撮ったそうですが、この粗さが逆に香港という街の猥雑さや空気感をパッケージングしていて、エキゾチックな雰囲気を味わう事が出来ました。

物語的には、失恋を受け入れられない男達が新たな女性との出会いによって、解放されていくというシンプルな話ですが、シンプルな話だからこそ、時代を経ても古びれずに見れるのかもしれません。
ファッションや音楽の選曲にしろ、個人的には古臭さは感じなかったし、いつ見ても当時の瑞々しさが甦る…エバーグリーンな一作と呼べるのではないでしょうか。
これからも、恋愛映画のクラシックとして、世代を越えて多くの人に愛されて欲しい作品です。