このレビューはネタバレを含みます
監督・脚本 ジャン・コクトー
(恐るべき子供たちの人)
舞台 パリ🇫🇷
ギリシア神話のオルフェウス伝説を下敷きにした作品。
主人公は国民的詩人のオルフェ
愛妻家でもあった彼の人生はある事件をきっかけに狂っていく
カフェの乱闘騒ぎの末、詩人の若い男が轢き逃げに遭い、死んでしまう。事件に居合わせたオルフェはミステリアスな雰囲気を持つ女性に目撃者となるよう言われ、車に同乗する。しかし車の行き着いた先は警察ではなく、彼女の邸宅で、男を轢き逃げしたバイクも一緒にいた。死んだはずの若者は甦り、彼らはオルフェの目の前で鏡の世界へと入り込んでいく。
90分とは思えないほど、濃密でテンポも良い。脚本が練り上げられているなと感じた。また元のオルフェウス伝説をオマージュしながら、異なる展開、結末にしている。
ニノチカもそうだけど、愛に生きてるなと感じた。愛を至上のものとし、その為に身を滅ぼす。人間よりも死神の方が美しいじゃないか。
現実世界に戻っても妻見ちゃいけない設定とそのやり取りが笑えた。案内人や手助けをしてくれるアルトビーズ、いい!
鏡から死神の世界へ繋がる
オルフェが死んで死神の家に連れてかれる時に流れるのがアフリカの太鼓か
○シーン
死神の世界での現実世界のような堅苦しい事情聴取
○セリフ(全体的にオシャレ)
コップ一杯の水が世界を照らす
妻と死神どっちに会いたい?
→両方だ!
尋問者)詩人とは何だ?
→作家にならないで書くものさ
コクトーの言葉みたいに聞こえた
死神)愛は存在せず、審判があるだけ
※オルフェウス伝説
ギリシアの吟遊詩人、オルフェウスは毒蛇に噛まれて死んだ妻を蘇らせるため、冥府に下り、冥王ハーデスの元へ。琴を奏で妻の返還を求めた。成功し、連れて帰る許しを得るが、冥界から抜け出すまで妻を振り返ってはならないと言われる。(日本のイザナギイザナミ伝説と一緒、見るなのタブー)案の定、振り返ってしまい妻は失われる。
2021.32