Omizu

忘れられた人々のOmizuのレビュー・感想・評価

忘れられた人々(1950年製作の映画)
3.7
【第4回カンヌ映画祭 監督賞】
『欲望のあいまいな対象』ルイス・ブニュエル監督作品。カンヌ映画祭で監督賞を受賞、1953年キネマ旬報外国映画ベストテンでは第9位に選出された。

ブニュエル、メキシコ時代の代表作。偏愛してやまないブニュエルだが、フランス時代の奇妙な作品とは打って変わってリアリズムを前面に押し出した作品。とはいえブニュエルならではの変な演出もあったりして楽しかった。

内容的には全く楽しくない。感化院を脱走した青年が悪事を重ね、周りを巻き込む悲劇へと発展していく。

ブニュエルだなぁと思ったのはペドロのお母さんをめぐる夢のシーン。生肉を持って迫ってくるお母さん怖すぎる。モンタージュを活用して奇妙な夢のシーンをつくるあげていてよかった。

リアリズムに徹した演出も良い。不良少年ハイボを中心に展開される悲劇は胸が痛い。ペドロはいい子なのに周りから理解されないのが切ない。貧困というものがもたらす連鎖的な悲劇をよく描いていると思う。

短い尺ながら物語としてよくできているし、ブニュエルらしい奇妙さも感じられる作品。とてもよかった。
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