geluro

サインのgeluroのネタバレレビュー・内容・結末

サイン(2002年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

いい映画!想像よりおもしろかった。

主人公は元神父、メルギブソン。弟(ホアキン・フェニックス)と、2人のこども(10歳くらいの男の子と5歳くらいの女の子)の4人で暮らしている。息子は喘息持ち、娘は水に何か入ってると言って飲めない。奥さんとは死別し、それ以降ホアキンが一緒に住んでくれているようだ。ホアキンはかつて野球のマイナーリーグでホームラン王だったらしい。
ある時、家のまわりのトウモロコシ畑にミステリーサークルを発見する(主人公たちの家は結構田舎で、まわりは畑ばっかり)。さらに、家のまわりに奇妙な人影を見る。追いかけてていくが、そいつは一瞬で家の屋根まで飛び、消えた。なんじゃこら。
一応警官に言うが、真相は不明。近くに住んでるイタズラ好きな嫌なヤツのせいかと想像する。昔こういうの流行ったけど、数人の人手があれば一夜でできるから、イタズラと結論が出ているはず。

しかしニュース映像を見てみんな愕然。世界中でミステリーサークル騒ぎが起きている。これは、宇宙人が残したサインで、仲間たちに安全な場所を知らせるためだとか言われている。ここに来た奴らは斥候だから、残りの奴らが大挙して攻めてくんぞこれは。
しかもこの量が一夜にして。いや人には無理やろ、どんなけ手が込んだイタズラやねん、ってことで、世界中パニック。メルギブソン一家もパニック。しかし落ち着け、大丈夫、なんとかなるさ。メルギブソンのとこに、神父様、懺悔させてくださいとかいう奴が来るけど、いや俺もう神父ちゃうねんとか言うけどみんなパニックやから聞いてくれなくて仕方なく懺悔聞いたり。
警官にも息抜きが必要よとか言われて、家族4人で街に出かける。子どもたちは本屋で宇宙人に関する本を買う。ホアキンは警察的なところに行って相談する。
みんなでピザ食べてるところに、ある男が通り過ぎるのだが、そいつもメルギブソンも、互いに意味深に、不安げにお互いを見て、去る。なんなんや。

とかなんとか言ってるうちに、つぎは大量のUFOを映し出すニュース映像。さらに、宇宙人の姿を一瞬映した映像も出回る。緑色で、二足歩行で、手足が長い感じ。こりゃあかん。メルギブソンも、夜のトウモロコシ畑で宇宙人っぽいやつを目撃してしまう。
宇宙人たちは、人間を食料にするために来るなんて噂もある。そのため毒ガスを出せるとかも。
まわりの家の様子を見に行く。一番近いのは、動物医師の男。彼の家に行くと、荷物をまとめて出て行くところだった。彼は言う。
「ずっと罪の意識が消えない。私はいつもは本当に安全運転なんだ、でもあの時だけ、仕事の疲れで、数秒意識が飛んでしまった。そのときにあなたの奥さんを轢いてしまった。あなたに言える言葉がない、あれは運命だったかもしれない。宇宙人は水が苦手という噂があるから、わたしは今から湖の近くに逃げる。家の中に一匹捕まえてある」とかなんとか。
そう、彼こそがメルギブソンの妻を殺してしまった人だ。3年ほど前だった。回想シーン。
事故現場に到着したギブソン。警官が集まっている。動物医師の男は座ってうなだれている。警官が言う。「彼女は車と木の間に挟まれている。しかし下半身はほぼ損傷している。生きているのが不思議な状態だ。車を動かした瞬間に出血し死んでしまう」ギブソンは涙を流しながら妻の元へ。妻はうわごとのように言う。
「見て。打って」
ホアキンの試合を思い出しているらしい。


仕方ない、籠城だ。みんな家にこもって、窓やドアを打ちつけていく。食料は一応ある。みんな何食べたい?と聞くと、みんなめいめいに好きなメニューを言う。これが最後の晩餐だと分かっていながら。さぁできた、みんな食おう。どうした、食わんのか、なんでや、楽しくやれメシは。食え!そうか食わんか、ほんなら俺が食うわい。うん、うまいうまい、うぅ、ううう、と泣き崩れるギブソン。そこで息子がナイスで、泣きながらも父の元へ。みんな抱き合う。ギブソンは泣きながらホアキンも引っ張って無理やり抱き合って泣く。

と、なんか変な音がする。あっ。屋根裏の窓、打ちつけてない。やばいやばい、なんか足音もしてやべぇってんで地下室へ逃げる。地下室のドアも打ち付けようとしたとき、誤って電灯を割ってしまう。暗闇。やばいやばい、懐中電灯探す。なんとか2つ見つける。
そのときふと思い出す。たしか昔は、地下室から何か運び出すための通路があったのでは?そこも打ちつけなきゃ、探せ探せ。風が来ているはずだ。音のする方を明かりで照らす。あった、息子の後ろ、と思った瞬間、息子の後ろから宇宙人の手がかかる。はがせはがせって戦うギブソンとホアキン。なんとかはがし、その通路も打ちつける。ちょっと静かになったな?
が、息子がやばい。彼は喘息持ちなのだが急いで逃げたため薬がない。ギブソン頑張って息子を落ち着けるが、呼吸が怪しい。薬を取りに行かなければ。
ギブソンとホアキンは音のやんだ階上へ恐る恐る上がる。どうやら誰もおらんぞ。そして薬ゲット。と思った瞬間、目の前のテレビに映る自分と、その後ろの宇宙人。振り返ると、宇宙人は息子を抱えてこちらを睨んでいる。
落ち着け、ホアキンと俺。いける、大丈夫や、息子はまだ生きてる、気を失ってるだけや。宇宙人は、手首からガスのようなものを出して息子の顔にかけた。
その時、妻の言葉を思い出す。「見て。打って」。ギブソン、宇宙人を見続ける。そしてホアキンに「打て」と。壁には、かつてのホームラン記録樹立時の記念バットがかけてある。ホアキン、バットを手にして構える。宇宙人は動かずこちらを見ている。ホアキン、振り抜く。何度も殴る。宇宙人が倒れた先に、水の入ったコップが大量に置いたままにしてある。というか娘の癖で、家中が水の入ったコップだらけだ。水が宇宙人にかかると、焼けただれる。これでいける!ホアキン、最後のめった打ち。
家の外へ出て息子の様子を確かめる。息をしていない。だが、だからこそあの毒ガスを吸わずに済んでいる。緊急用の注射をして、ひと段落。


というお話でした。
宇宙人の造形が安っぽいとか、さすがに水が弱点は弱すぎるやろとか、いろいろ突っ込みたいところもあるが、でも単純におもしろい。いちいち伏線がちゃんと回収されるし、見事。SFサスペンスという感じで、終始緊迫しているが、ところどころ笑えるところがあるのが、なお良かった。子どもたち2人がアルミホイルを頭に巻いて宇宙人に思考を読まれないようにしているシーンがあり、その後、宇宙人はマジできてるやんってことがニュースでわかったあと、ホアキンも揃って3人でアルミホイルを頭に巻いてたりして、そこ可愛いし笑った。


一番気になったのは、途中で「宇宙人は賢いからこっちを騙してくる」みたいな話が出てくる。それは、一度逃げたと思わせて逃げてなかった、みたいなところにかかってくるのだが、うーん。地下室へ逃げる前、テレビは変な模様が出てるだけで、放送が途絶えていた。で、地下室から戻ってきてテレビをもう一度つけた時、ニュースが復活していて「宇宙人には原始的な撃退方法があるようです」みたいなことを言ってる。
で、宇宙人は賢いからこそ、偽のニュース映像を作って流しているのでは?と私は思ったのだ。しかしそんなことなかった。普通にニュースは正しかった。そこがおしいなぁと思った。宇宙人の見た目がしょぼいとかは別にいいけど、ここはちょっと勿体無いと感じた。
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