りっく

魔の刻(とき)のりっくのレビュー・感想・評価

魔の刻(とき)(1985年製作の映画)
3.4
海・橋・夕焼けが印象的な一作。そんな環境に囲まれた漁村の閉塞感と、その中で「罪」を犯してしまった者たちの孤独と開き直りが描かれる。ラストでディスコで音楽を変え、ダンスを二人だけで踊る岩下志麻と岡田祐介の場面がそれを顕著に物語るが、台詞や展開が説明的で冗長で感情は揺さぶられない。

岩下志麻と坂下忍のエディプスコンプレックスに囚われた母子が、岡田祐介が絡んだ三角関係になり、終いに母親が息子から無事に離れられたという話だが、その関係に揺さぶりをかける坂上忍の恋人役を演じる岡本、岡田祐介を追う刑事役の石橋蓮司など脇を固める役者がとにかく渋い。だが一番は何といっても岩下志麻。20歳で子供を産んだ中年女性という設定だが、その凛としたたたずまいと色気で物語に説得力と厚みを持たせる。いい意味で港町から浮いている地に足の着いた役柄だった。
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