凪子

王様と私の凪子のネタバレレビュー・内容・結末

王様と私(1956年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

子供たちと会った時のシーンについて、アンナの纏う西洋のブルーと宮殿内の色鮮やかさが対照的で視覚的に美しかった。また、ミュージカル映画ということで、アンナの美声が素晴らしい。
アンナと王様が一緒になって踊るシーンで、最初に王様が手を突き出し、それに照れ…というか渋々…というか、なんとも言えない態度で応対するアンナがとっても可愛くて、でも一度踊りだすと止まらないステップがとても気持ちよかった。
王様の突然の死期の近づきは唐突感を感じたが、それはそれであの王様らしくて少し笑った。しかし、最後に手が落ちて、悟ったような右腕の男と、少し睫毛を震えさせて、王様の手の甲に頬をすり寄せたアンナの横顔が、いつまでも頭の中に残っている。結局王様は愛を知る事はなかったのだろうか。
あの努力家であり、決して愚かではない王様のことなので、アンナの制止で鞭打ちを辞めた自身を省みてアンナへの愛?に気づかされ、しかし彼は王様であったので一対一で愛するということは受け入れるつもりはなかった。そうして本を読もうとしては嘆息していたのは、己の感情と今まで信じてきたこと、そしてアンナの言う愛、真理が分からずそれに憂いていたのではないかと考える。
最期には王でない自分となり(=息子が今から王であるという宣言)、その想いでアンナに指輪を渡す。私はあの指輪を渡したのは、一人の男として渡しているのだと思っている。最初は労いの為。二度目は愛の為。
しかしこれこそ、アンナと王様にしかない、愛一つではまとめられぬ、アンナと王様、という関係なのだ、、?
凪子

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