湯っ子

レイチェルの結婚の湯っ子のレビュー・感想・評価

レイチェルの結婚(2008年製作の映画)
3.8
少し前に、ラジオで町山さんが紹介していたのをうろ覚えで観始めました。軽く観られるハートフルコメディ的なものを期待して、見事に予想が外れました。
まるでドキュメンタリーのような映像。
アン・ハサウェイが情緒不安定な花嫁の妹を演じるという予備知識はあったものの、ここまでの傷と闇を背負った人物だったとは。
結婚式とかお葬式とか、冠婚葬祭って、家族や親戚や友達が一同に介して、それぞれの思惑やらそれまでの人間関係が交錯するから、そりゃ〜わちゃわちゃしますよね。
それを映画的なまとまりをつけて、みんなハッピーでよかったね、チャンチャン!っていうのをやってくれないのがこの映画。
それぞれが相手を思いやる気持ちを持っているのは確か。ただ、それぞれ持っている温度やら形やらに微妙なズレがあって、そのズレは埋まることはない。
ラストは、そんなズレはそのままだけれど、情緒不安定なヒロインが少しだけ優しくなっています。

結婚式のシーンは、多様な人種が混じり合い、共存するとてもハッピーな雰囲気で憧れました。
ただ、このハッピーな雰囲気の式に割と長めの尺を取ることで、余計にヒロインの居心地悪さもこちらに伝わってきて、切なくなります。

最後まで見届けてから、クレジットで監督がジョナサン・デミということを知り、驚きました。

映画的な着地をすることよりも、人間を真摯に描くことを選んでいる、こういう映画が好きです。
湯っ子

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