1931年、北京から上海に向かう特急列車に、かつて恋人同士だった上海リリー(マレーネ・ディートリヒ)と軍医ハーヴィー(クライヴ・ブルック)が乗り合わせる。やがて列車は反乱軍に拿捕され、ハーヴィーは人質となってしまうが、かつての愛情を取り戻したリリーはある決断をする。
鉄道を利用したサスペンスやアクションは多いけど、その先駆けなんだろう。
セリフに合わせて、こまめにカットが切り替わって目が回る部分は時代を感じたし、中国人の描写は微妙。
でも、町中を走る列車や、内戦の混乱など、当時の雑然とした様子が伝わってきて面白いし、戦争サスペンスとしても、一人ずつ2階に呼ばれるあたりはなかなかの緊迫感だった。
終盤、通路で逡巡し、灯りを消して震えながらタバコを吸うデートリッヒの表情が素晴らしい!名場面!
終わってみればロマンスの映画だったんだけど、登場したのは “分かりやすい男たち” と “謎めいた女たち”。
マレーネ・デートリヒの独特の雰囲気に、中国人売春婦役のアンナ・メイ・ウォンがとっても印象的で、これは間違いなく混迷の国で力強く生きた女性2人の物語だ。