BLACKHOLEで「いつものケイト・ブランシェットじゃないケイト・ブランシェットが見られる」と話題に上がっていた作品。
序盤、たしかにこの容姿なら若い頃は「妖精のよう」と称される役を宛てられるのも納得だなと思いながら見ていたら、
ラストやっぱりその「ケイト・ブランシェット力(りょく)」を遺憾なく発揮していて、
『TAR』の劇場パンフにあった
“世界はケイト・ブランシェットを中心に回っている”
という一文を思い出した。ただの「妖精」にはできない役だ。
ジュディ・デンチのナレーションのかんじからして、『ある女流作家の罪と罰』の系譜かなと思ったけど、なんかもっとぞくぞくする怖さがあった。
嫉妬と愛情、尽くしたい欲と支配欲。
相反する概念のようで表裏一体なのかもしれない。
この設定はリアルではなかなかないだろうけど、翻って日常生活で男女においてこの二律背反が生じた途端、わたしたちはあまりに軽率に、それを恋愛と錯覚してしまう。
