イッソン

トキワ荘の青春のイッソンのレビュー・感想・評価

トキワ荘の青春(1995年製作の映画)
3.6
静かな映画。ひとつひとつ丁寧に描かれていく。漫画の「まんが道」に夢中になった私にとっては、ますます深みにはまってしまう映画。

漫画を描く才能だけはある青年達は、人前に出ると声は小さく頼りない。特に藤子不二雄の二人はいつも暗くボソボソ話していて、気持ち悪い存在に見える。その中で寺さんはキチンとしていて頼りがいがある。まわりがあまりにもダメなので寺さんがリーダーになるのは仕方がなかったのだと思う。
さえない男達の中で石ノ森章太郎のお姉さん役の阿部聡子が透明感があり印象に残る。
才能がぶつかり合い弾ける時、それぞれに自分の程度を客観的に見つめる時が訪れる。そこに避けることのできない別れがあることを予感させる。
「胸の振り子」という歌はとてもこの映画に合っていて良かった。