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地獄に堕ちた勇者どものペインのレビュー・感想・評価

地獄に堕ちた勇者ども(1969年製作の映画)
4.5
かの三島由紀夫も当時、“久々に傑作と言える映画を観た”と大絶賛したルキノ・ヴィスコンティ監督のドイツ3部作の1作目。

ナチス政権、第三帝国の黎明期にその陰謀と野心の犠牲となって崩壊して行く、鉄鋼財閥一家の悲劇的葛藤を描いた本作。

いわゆる家庭崩壊モノですね。
壮大にして暗鬱、耽美的にして醜怪、ヴィスコンティ作品の中でも特にネバネバドロドロした毒っ気を感じる作品で、間違いなくアリ・アスター監督は本作が好きだろうなぁと思いました(笑)

フェリーニよりもヴィスコンティの方がお上品な感じといいますか、より貴族貴族しているなぁと私は思うのですが、本作は毒々しいまでの濃い赤を基調とした画作りや、キャストの衣装やメイクの濃さなどからフェリーニに近いなとすら感じました。

それにしても女装を披露するヘルムート・バーガーのなんと耽美だこと。シャーロット・ランプリングなんかも元々あまり好きではないほうだが、本作に関してはお美しい。

物語後半、耽美的なヘルムート・バーガー演じる息子がダーク・ボガード演じる父とイングリッド・チューリン演じる母をとことん追い詰めいていく様はもうまさにタイトル通り“地獄絵図”で、まぁ迫力が凄まじかったです(母を犯したりもします)。
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