地獄に堕ちた勇者どもの作品情報・感想・評価

「地獄に堕ちた勇者ども」に投稿された感想・評価

重厚。鉄だけに。
人物相関を把握するのに手こずった。ペドが苦手なので観ていて辛いシーンがあった。やっぱりちょっと長く感じた。
ツタヤDISCAS試聴。
ナチスがらみの話?程度の予備知識だけで試聴。邦題の「地獄に堕ちた勇者ども」は、長いナイフの夜に粛清された突撃隊の古強者どものことと気付く。彼らの乱痴気騒ぎと破滅を後景にして、ナチに段々と取り込まれていく鉄鋼富豪の一族の運命を悲劇的に描く。
つまりこれは、ナチスドイツ版「ハムレット」ですね。母を寝取られるハムレット=マルティン(殺されるのは父王ではなく祖父の鉄鋼王だが)。「ヘーゲル曰わくエリートは個人的道徳を超越する」などと鼓吹する親衛隊員に影響され、また、少女姦で人間性に別れを告げてしまった彼に最早「生きるべきか死すべきか」というハムレットの煩悶ないしは優柔不断はない。マルティンは母を犯し、最後には母の情夫と母に自死を強いる。
してみると、ハムレットの優柔不断が実は人間性にとって重要な核であったことに気付く。女装や乱痴気騒ぎをしていたかつてのマルティン(女装癖は演じたヘルムート・バーガー自身のものであるという)や突撃隊員にも生々しい人間性の片鱗はあった。
不品行な「勇者ども」を地獄に屠った後のナチスドイツの人間性の行き着いた先については我々もよく知っている。
実に面白い映画でした。
カツマ

カツマの感想・評価

4.0
世の中には遅効性の毒というものがある。かつてドイツ国内に蔓延していたその毒の名前こそが、ナチズム。ナチス時代を描いているにも関わらず、この映画にはヒトラーは肖像画でしか登場しない。霧散するナチズムと言う名の毒を吸ったが最後、血で血を洗うような狂気の没落劇が幕を開けた!ルキノ・ヴィスコンティは1930年代ナチズムの恐怖を、ある製鉄一族の覇権争いに例えて描き、当時蔓延していた闇の正体を暴き出す。操られていることにすら気付けない、それこそが真の恐怖だったのだろう。

ナチスが政権を握っていた1930年代ドイツ。製鉄一家として君臨していたエッセンベック家。その日は当主ヨアヒムの誕生日のため、一家全員がヨアヒムの屋敷を訪れていた。世はナチズム一色。ヨアヒムはナチスを利用して家業の存続を宣言した正にその夜、何者かによって暗殺されてしまう。凶器は反ナチスを唱えるヘルベルトのものだったが、彼は時を同じくして逃走。一家は残された副社長のコンスタンティン、技術畑の重役フリードリヒの覇権争いへと雪崩れ込む。フリードリヒはヨアヒムの孫マルティンを取り込み、社長の椅子を手元に引き寄せるのだが、コンスタンティンの反乱を招くことになる。

この映画は一家のほとんど全員が物語に深く切り込んで来る圧巻の群像劇だ。特にナチズムへと自然に傾倒していくマルティンの姿は、正に扇動政治を体現していると言っていい。ロリコン趣味でエキセントリックなマルティン役を演じたのはヘルムートバーガー。彼の妖艶な美貌は凝縮された変態性と結合して、心地良いほど美しい毒花を咲かせている。
160分ほどの大ボリュームですが、物語の主導権を握る人物は次々と移っていくため、まるで3本分くらいの映画を一気に見たような満腹感を覚えることができる作品。THE ENDの文字が出た頃には、思わず大きく深呼吸をしてしまったほどでした。
これでもかというぐらい退廃的なものが詰まっている。ある意味強烈。長いナイフの夜のシーンは鬼気迫るものがありました。権力闘争の果てに得られるのは何か...。ヘルムートバーガーは中性的で妖しい目つきをしていて、主役並みに光っていました。また見たい。
otom

otomの感想・評価

5.0
ナチスの時勢って事を抜きにするとかなり昼ドラ風な一本ではある。鉄鋼の如き固い野心もちょっとした弱味で崩壊する諜報の恐ろしさ。飛交いまくる因果応報の特大ブーメランもナチスらしい。権力の果ての孤独と没落の虚しさったらない。傑作。
これぞデカダンス
上流階級の文化や、アルコール、麻薬に囲まれる人々、その顔には生気が宿らず美しさだけが浮いてくる


ナチスの禍々しい軍隊の赤を華麗で濃密な映像芸術に昇華させるヴィスコンティの手腕が見事

とんでもない感覚に目を白黒させられる回数がヴィスコンティとフェリーニの作品では多すぎる。

いつも通りの豪華絢爛なセット
突撃隊の乱痴気騒ぎ
官能的な肉体美
それを観客に全てを見せつけることをしない粋なカメラ

激情型の展開がお得意のズームアップにキッチリとハマってた

ヘルムートバーガーがドラッグクイーンに扮して唄うシーンは強烈だった
意識しないとひたすらハリウッド映画を観てしまうのが私の悪い癖なので(笑)今年こそ、ヨーロッパ映画をもっとお勉強!ということで、イタリアの巨匠ルキノ・ヴィスコンティのドイツ三部作の一本目を鑑賞。

1933年2月、プロイセン貴族で製鉄王のエッセンベック一族の当主ヨアヒムは、政権を発足させたばかりのヒトラー率いるナチスとの協調を企んでいた。これを機に、反ナチのヘルベルト、突撃隊幹部のコンスタンティン、製鉄会社の重役のフリードリヒとその恋人のゾフィー、彼女の息子であるマルティンなどそれぞれの思惑がぶつかり合い、エッセンベック家の覇権を巡る骨肉の争いが始まるのだった...。

重い、重すぎる...!週末に気合を入れて観ることをオススメします(笑)。
血が繋がっている「家族」であっても、こんなに容易く憎み合うような関係になり得るんだな...と悲しくなりました。冒頭10分くらいから既に裏切りは始まっており、ドロドロの人間模様が繰り広げられます。ほんのわずかばかりの「愛」の場面も垣間見えましたが、それも自分の権力のためだったり、はたまた近親相姦だったりと歪んだものばかり。時はナチスドイツの台頭の前夜、やはり狂った時代には狂った人間模様も生まれやすいのだなと痛感...。「長いナイフの夜」事件は実話ですが、映像化されるとより凄惨さが伝わって観ていられなかったです。

こんな悲劇的なお話なのに、ヴィスコンティ監督の手腕により、ドロドロの愛憎劇がどこか甘美で崇高なものに見えるのがすごい。『ハムレット』や『マクベス』などのシェイクスピア悲劇へのオマージュも感じられる一代叙事詩となっています。
ダーク・ボガードとイングリッド・チューリンの2人が織りなす退廃的な愛も良かったけど、本作で一番際立っていたのが当時25歳のヘルムート・バーガー!
ヴィスコンティの秘蔵っ子としても有名ですが、目を見張るほどの美男子。幼女への執拗な愛着があったりと異常な面がある脆い青年から、さまざまな悲劇を乗り越えて冷酷なナチ党員へと変貌を遂げる迫真の演技が圧巻でした。有名なマレーネ・ディートリッヒの某シーンの再現では女装姿も披露、なんて美しいんでしょう...!
ヴィスコンティ作品に美男は欠かせないんですね。

タイトル通りこの世の「地獄」とも取れるあの悲劇的なラストシーン。そもそもヴィスコンティ×ナチスという取り合わせ、名作にならないわけがない!
なんかよく分からんないけどすげぇ…となってしまった もう少し大人になったら再挑戦したい映画
324

324の感想・評価

4.0
フレーム単位で美しい。個人的にはベスト退廃映画かも。今作のシャーロット・ランプリングは女神だな。特に母親の結婚式につけるコサージュのショットが好きだった。
家族の愛憎劇、地位をめぐるパワーゲーム、歴史的事件と実際かなり多くを描いているが、そう感じさせない構成の上手さ。
18/1/2 とてもじゃないが156分じゃ描ききれないことを詰め込んでる作品
高校生に見た時は気づかなかったけどかなりピンずれ多いなあ
18/1/5 ズーム演出が過多でちゃんと絞って使えばいいのにって思ってしまった。やはり肝心のマーチンの心情が不明瞭で人物造形に立体感が欠けるのがかなり気になる。変態なことしかわからない。ただ外部の歴史的状況と一家内部のパラレルを描く脚本は流石に巧いと思った。
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