地獄に堕ちた勇者どもの作品情報・感想・評価

「地獄に堕ちた勇者ども」に投稿された感想・評価

tonemuff

tonemuffの感想・評価

3.7
ヘリオガバルスと「悪霊」のスダヴローギンを足した様なヘルムートバーガーのキャラが良い。
全体的に退廃みが凄い。
ヴィスコンティの中でも、ちと分かりにくい部類に
印象的なシーンも少なかった
この作品に限らずヴィスコンティ作品って文学的な格調高さとか撮影にも美術にも衣装にも美しさが感じられるんだけど、どこか好みに合わないところがあって物足りない感を覚えた。

でも葬式のシーンに検閲のシーン、そして長いナイフの夜のシーン等記録映画的で良い映像の場面もそこそこあったから、人によれば最高の映画にもなり得るだろうというポテンシャルは好みでなかった自分でも感じられた。

それにしてもダーク・ボガードとシャーロット・ランプリングが被ってたり同じナチスものだったりと、リリアーナ・カヴァーニの愛の嵐はこの作品を意識して作られたのだろうか。
ナチス台頭期を舞台に、鉄鋼業を資本とするドイツの男爵家の権力争いを退廃的ムードで描いた歴史ドラマ。ストーリー展開はドロドロして昔の昼ドラっぽい。ビスコンティ作品の中ではややキャラクターのシェイプが弱く、スタートからしばらくは顔と名前が一致しない。美術や衣装が素晴らしく、特に女の指を彩るサファイアやトパーズなどの宝石が美しい。終盤のナチズムの本質である純粋性が貴族的退廃を凌駕していく苛烈さ、どす黒くコクのある味わいがたまらない。ヤ×ハ音楽教室や、シャ×エッセンのCMの音楽のルーツがわかる。
2018.5.3 DVD(字幕)
背徳の極みとされる映画だけど、予想の斜め上を行く。
そのものズバリの描写はないけど、AVでも厳禁なシーンがあちこちに。でもヴィスコンティ監督だから見事にアートに昇華して、えげつなく感じない。三島由紀夫が絶賛するのも分かる
年配の方に薦められるけど、ヴィスコンティの世界観はどうも苦手。ヘルムート・バーガーが妖艶で猫みたい...あやしい美しさ。
Keny

Kenyの感想・評価

4.4
大人が嫌悪するほどの純粋さは、何色にも染まりやすく、欠けたものを補うために地獄への階段さえも降りていく。
エゴ、エゴ、エゴ。しかし最終的にそのエゴが作り出した黒々とした無が、飢えという引き金によって憎悪の弾を撃つ。
ああ、退廃美。ディートリッヒから長いナイフの夜、婚姻まですべて。デカダン展だねこれは。いや、オペラかなあるいは。
近親相姦、なんて美しい殺害シーンだ。

「ナチは我々が創り出した」と語る神々の没落を見よ!ナチとは、現代人の私利私欲が生んだ腫瘍だ。
おそるべし、ヘルムート・バーガー。
マイケル・コルレオーネを思い出したな。
重厚。鉄だけに。
人物相関を把握するのに手こずった。ペドが苦手なので観ていて辛いシーンがあった。やっぱりちょっと長く感じた。
ツタヤDISCAS試聴。
ナチスがらみの話?程度の予備知識だけで試聴。邦題の「地獄に堕ちた勇者ども」は、長いナイフの夜に粛清された突撃隊の古強者どものことと気付く。彼らの乱痴気騒ぎと破滅を後景にして、ナチに段々と取り込まれていく鉄鋼富豪の一族の運命を悲劇的に描く。
つまりこれは、ナチスドイツ版「ハムレット」ですね。母を寝取られるハムレット=マルティン(殺されるのは父王ではなく祖父の鉄鋼王だが)。「ヘーゲル曰わくエリートは個人的道徳を超越する」などと鼓吹する親衛隊員に影響され、また、少女姦で人間性に別れを告げてしまった彼に最早「生きるべきか死すべきか」というハムレットの煩悶ないしは優柔不断はない。マルティンは母を犯し、最後には母の情夫と母に自死を強いる。
してみると、ハムレットの優柔不断が実は人間性にとって重要な核であったことに気付く。女装や乱痴気騒ぎをしていたかつてのマルティン(女装癖は演じたヘルムート・バーガー自身のものであるという)や突撃隊員にも生々しい人間性の片鱗はあった。
不品行な「勇者ども」を地獄に屠った後のナチスドイツの人間性の行き着いた先については我々もよく知っている。
実に面白い映画でした。
カツマ

カツマの感想・評価

4.0
世の中には遅効性の毒というものがある。かつてドイツ国内に蔓延していたその毒の名前こそが、ナチズム。ナチス時代を描いているにも関わらず、この映画にはヒトラーは肖像画でしか登場しない。霧散するナチズムと言う名の毒を吸ったが最後、血で血を洗うような狂気の没落劇が幕を開けた!ルキノ・ヴィスコンティは1930年代ナチズムの恐怖を、ある製鉄一族の覇権争いに例えて描き、当時蔓延していた闇の正体を暴き出す。操られていることにすら気付けない、それこそが真の恐怖だったのだろう。

ナチスが政権を握っていた1930年代ドイツ。製鉄一家として君臨していたエッセンベック家。その日は当主ヨアヒムの誕生日のため、一家全員がヨアヒムの屋敷を訪れていた。世はナチズム一色。ヨアヒムはナチスを利用して家業の存続を宣言した正にその夜、何者かによって暗殺されてしまう。凶器は反ナチスを唱えるヘルベルトのものだったが、彼は時を同じくして逃走。一家は残された副社長のコンスタンティン、技術畑の重役フリードリヒの覇権争いへと雪崩れ込む。フリードリヒはヨアヒムの孫マルティンを取り込み、社長の椅子を手元に引き寄せるのだが、コンスタンティンの反乱を招くことになる。

この映画は一家のほとんど全員が物語に深く切り込んで来る圧巻の群像劇だ。特にナチズムへと自然に傾倒していくマルティンの姿は、正に扇動政治を体現していると言っていい。ロリコン趣味でエキセントリックなマルティン役を演じたのはヘルムートバーガー。彼の妖艶な美貌は凝縮された変態性と結合して、心地良いほど美しい毒花を咲かせている。
160分ほどの大ボリュームですが、物語の主導権を握る人物は次々と移っていくため、まるで3本分くらいの映画を一気に見たような満腹感を覚えることができる作品。THE ENDの文字が出た頃には、思わず大きく深呼吸をしてしまったほどでした。
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