ダンクシー

アレックスのダンクシーのレビュー・感想・評価

アレックス(2002年製作の映画)
3.8
「フィストファックを」
「俺はホモじゃねぇ」

開始早々、ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ってうるせぇよ!笑
しかし序盤の緊迫感はとんでもない。常に不安な気持ちになる。めっちゃ画面グルグルするやん!って思ったけど、よく見ると反時計回りになってて、時間が逆行しているのが分かって、ちゃんと作り込まれているんだなぁと感心した。長回しのワンカットが多いのも特徴的。これも、俺には真似できないワザだ。

ゲイクラブを必死に探してるから毎回お前ホモか?って勘違いされるのは面白かったが、そこだけで肝心のストーリーはまじで笑えないほど残酷。

原題はIrréversible。不可逆という意味を持つ。しかしその意味とは真逆に、この映画はエンドロールから起承転結が逆転して描かれる。いわゆる、"メメント"のような構造だ。メメントだとカラー部分が最後から最初までの逆転構造で、電話のモノクロ部分が最初から最後までの通常構造で交互に描かれているが、"アレックス"の場合は、各チャプターが最後から順番に、最初へと進んでいくような作りだ。よりシンプルな逆転構造が本作というワケです。

「時はすべてを破壊する」

恋人とパーティに参加するも、揉めてしまい彼女(アレックス)が1人で帰ってしまう。しかし帰り道で通った地下トンネルでクソ野郎にレイプされてしまうというただただ惨いお話。
うーん。10分間のレイプ暴行シーンがあまりにもキツすぎたなぁ。。目を覆いたくなった。観客だから当然だけど、無力感に苛まれてしまった。これはねぇ、胸糞レベル高い。理不尽そのものだから、目と耳を塞ぎたくなった。

マルキュスはアレックスを1人にして帰した時点で詰んでいた。時間軸が逆転しているからこそ、絶望のラストと希望のオープニングが逆転してより観客に深い心の傷を負わせる作りになっていた。最初に最悪の結末を知ってしまったからこそ、ラストに希望を見て、この幸せが奪われてしまったという胸糞とストレスに大ダメージを食らってしまう。
あの時ドラッグをやっていなければ、愛する人を1人で返さなければ、もう振り返っても遅い後悔に永遠と苦しませられるとかあまりにも最悪すぎる。。
あのグルグルしたカメラワークは、反時計回りで逆転している事を示唆するだけでなく。マルキュスの心理状態の不安定さを表しているようにも感じた。

ストーリーが進むにつれ(逆転するにつれ)、どんどんマルキュスとアレックスの幸せそうな映像が流れるから、余計に観ててしんどかった。逆転して描かれるからこそ、"時は全てを破壊する"ってキーワードが効いてくる。幸せな過去からは想像もできない、避けることが出来ない恐ろしい現実。

復讐しようとするけど返り討ちにあって、親友が反撃するけど殺したのは全くの別人で、そのまま救急車&逮捕とかいうあまりにも救いようのない最悪ストーリーでさすがの俺も泣いちゃう。すっごい嫌悪感がハンパない映画だった
ダンクシー

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