rage30

スラップ・ショットのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

スラップ・ショット(1977年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ポンコツチームの再起奮闘物語…と思いきや、そんな爽やかなスポーツ描写は皆無!笑
「とにかく暴力で勝つ!」というスポーツ精神の欠片もないやり方で、チームが浮上していくという、トンデモな展開で話が進んでいきます。

特にハンセン兄弟こと、地獄の3兄弟(勝手に命名w)が強烈でしたね。
厚い眼鏡を掛けた見た目や車の玩具で遊ぶ幼稚な性格といった部分から、既に激ヤバなバイブスを放っているのですが、試合ではそれ以上にブッ飛んでいました。
はなっから試合をする気などなく、とにかく相手を潰す事しか考えてない、サイコパスっぷりが最高!
隠す事無く、普通にスティックで相手を殴りにいってるのを見た時は、流石に笑いました。
DVDのジャケットにも映ってる様に、彼らを見るだけでも、この映画を見る価値があると思いますよ。

まぁ、そういう映画なんで、個人の成長やチームワークなんていう、普通のスポーツ映画にありそうな描写がありません。
そもそも、あんな反則が認められたら競技として成立しないので、これはコメディーとして割り切って見るのが正解なのでしょう。
でも、これはこれで面白いというか、良い意味で裏切られた感じで、個人的には面白かったです。

暴力!暴力!となっていますが、最後は男性によるストリップで勝利を収めるというオチも良かった。
あのまま終わったら、本当にただのバカ映画で終わったと思うのですが、最後の最後で、暴力的な、マチズモ的な世界を批判してみせる事で、この映画はギリギリ人間には知性があるという事を証明してくれた気がします。

暴力というものが如何に人を惹きつける魅力があるか描いた一方で、暴力が暴力の連鎖を生む不毛さも描き、暴力とは最も遠いモノが世界を変える…というのが本当に鮮やかな終わり方だな~と思いました。
あのストリップには、映画が、エンターテイメントが果たすべき役割が象徴されていたのかもしれません。
これを70年代にやっていたとは驚きですね。

ただのスポーツ映画ではないし、ただのバカ映画でもない。
今に通じる先進性も感じさせる隠れた名作です。
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