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四重奏のmのネタバレレビュー・内容・結末

四重奏(1948年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

作家サマセット・モームの短編小説四篇を映画化したオムニバス映画。モーム自らが登場し、案内役を務めている。

30分位の作品が四篇で、四人の監督がそれぞれ務めている。そのどれも見ごたえ抜群。一篇一篇が濃厚で大人向け。これは当たり。


第一話「人生の実相」
監督:ラルフ・スマート 出演:ジャック・ワトリング、ベイジル・ラドフォード

19歳のテニス選手を息子に持つ父親が、息子に人生における三つの注意点をさずける。「博打はするな」「他人に金を貸すな」「女には注意しろ」 ところが息子は遠征先でルーレットに手を出して大勝ちし、その金を若い女に貸してしまったあげく、それが結局倍になって返ってくる。それを知った父親が頭を抱えてしまう、という話。

父親役が私の好きなベイジル・ラドフォード。これに「チャータースとカルディコット」でコンビのノウントン・ウェインが友人役で絡んでいる。


第二話「変わり種」
監督:ハロルド・フレンチ 出演:ダーク・ボガード、フランソワ・ロゼー

由緒正しい家柄の息子は家を継ぐことを期待されているが、ピアニストになりたいと言い出す。当然反対されるが恋人の機転もあり、2年間の留学ののち専門家の批評を得て将来を決める許可を得る。2年後、著名なピアニストの評価は厳しく、その結果を知った息子は猟銃の手入れ中に死に、事故死であると結論される。

ピアニスト役のフランソワ・ロゼーの存在感、本物感が説得力を増している作品。


第三話「凧」
監督:アーサー・クラブツリー 出演:ジョージ・コール、スーザン・ショウ

子供の頃から凧揚げに夢中の息子と、それを一緒になって応援してきた両親。その息子が恋人を連れてくる。面白くない母親をよそに二人は結婚するが、若き妻は亭主の凧揚げ趣味が理解できず、夫婦仲は険悪に。別居後も仲はこじれる一方で、息子は生活費を入れなくなり、監房に入れられてしまう。相変わらず理解のある両親の後押しもあって凧揚げを再開していると、そこへ妻が現れて一緒に凧揚げをして和解する。

これは分かりやすくハッピーエンドなところが微笑ましい。


第四話「大佐の奥方」
監督:ケン・アナキン 出演:セシル・パーカー、
ノラ・スウィンバーン

実業家で名士の大佐とその妻。大佐は食事時も新聞から顔を上げず、当然二人は会話もない。そんな折、妻が自作の詩集を出版し、瞬く間にベストセラーに。大佐は行く先々で妻の話題ばかりとなったことが面白くないうえに、どうやらその詩集の内容が「中年女と若き男の情愛」がテーマで、しかも生々しくリアリティがあるらしいと知り、まさか実話ではと気が気でなくなる。プライドと嫉妬のはざまで揺れた大佐はとうとう妻に問い詰めて真相を正す。最後はハッピーエンド的な結末。


どの作品もすこし立ち止まって考えたくなる、想像を掻き立てられる深い作品が並んでいて、一気に見るより一話ずつじっくり見ていきたい映画。サマセット・モーム、読んでみたい気にもなった。
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