Jimmy

影のJimmyのレビュー・感想・評価

(1956年製作の映画)
5.0
異なる3つの時期に起こった不可解な事件、その背後に存在する“影”を当事者たちの回想形式で浮かび上がらせる見事なサスペンス映画!
イエジー・カヴァレロヴィッチ監督による「時制を行き来する語り口」が素晴らしかった。
ポーランド映画。

冒頭、車を走らせている男女の横を走る列車から1人の男が飛び降りて、男女が飛び降りた男に駆け寄ると顔は落下の衝撃でグチャグチャ!…というショッキングな始まり方が凄い!
顔はつぶれているが脈はあるものの虫の息。そして病院で男は死亡。この男、上着もなく所持品は着ている服だけで身元不明。
そして、外科医クニシンは「こうした不可解な事件は今に始まったことではない」と言い始めて、自分が体験したドイツ占領時のポーランドで起こった事件を語る。仲間割れを狙った同士討ちの話(…詳細は割愛)。
鉄道事故の直後に無賃乗車で捕まった労働者青年ミクワは、他人の上着だけを持っていた。列車から飛び降り自殺した男の上着らしく、警察が取り調べる。
その青年を引き取りに行った公安省高官カルボフスキは、戦争直後の事件を回想する。政府軍とギャング団のスパイ事件と手榴弾の話。(…これも詳細割愛)
そして、無賃乗車のミクワが警察に自分の行動を細かく語ることで、これら全ての事件がつながっていく…という見事さ。

第二次世界大戦期・大戦直後・1950年代の3つの事件の謎を追うドラマは一見バラバラなエピソードであるが、カヴァレロヴィッチ監督の力量で見応えある作品になっている傑作!
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