ぼっちザうぉっちゃー

ゼイリブのぼっちザうぉっちゃーのネタバレレビュー・内容・結末

ゼイリブ(1988年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

そこまで今回は特殊効果の大盤振る舞いというものでもなかったが、サングラスをかけると見える白黒の裏世界(真の姿)というキャッチーなアイデアをベースに、広く宇宙に飛び出していくSFではなく、我々の住む地球、その身近にこそ異星の異分子が潜んでいるやも、というサスペンス調に落とし込んでいくゾクゾクする面白さはやはり健在。
ビジュアル的にも、放浪人の主人公や周りの労働者のベースキャンプみたいなところや、遠くにそびえるビル群が見えたりするのが良かった。テレビと教会のモチーフを利用して二つの「電波」を意味的に重ねる表現も面白かった。

テーマ的には、80年代のアメリカ不況を背景として、あがりを決め込んだエリートたち、実体のない「マネー」に魅入られた新自由主義、などの「何者か」に、街を、自らの住む世界を、作り変えられているような感覚というのが根底にある気がする。
そしてそういった体制側を、得体の知れない異星人や金属生命体の侵略に置き換えて、それに対する反発や、反動(一揆)をアクションで描くというやり方は、『ターミネーター』然り80年代SF映画に共通する精神性を表す一つの手法としてありそうだと思った。

後半自然に白人と黒人のバディものにもなっていくし、どこか『メン・イン・ブラック』のようなおかしみも感じたりする。ブルーカラーが路地裏でお互い目を覚まさせようと本気のぶつかり合いを演じるのは一歩先に『ファイトクラブ』してるようにも見えたりした。思った以上に長々とプロレスやってくれるので、途中から変にアツくなっちゃう。
やけくそな銃撃と薄味な情事の果て、アンテナを破壊し中指を立てるエンディングは、初めて色付きで見る宇宙人のグロッキーさも含めて好きだった。