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ゼイリブのKKMXのレビュー・感想・評価

ゼイリブ(1988年製作の映画)
3.9
 70〜80年代に活躍した技巧派の悪役プロレスラー、ロディ・パイパー先生が主演ということで鑑賞。B級テイストながら侮れないガーエーで、かなり現代的な内容だと感じています。

 メインストーリーは…特殊なグラサンを拾った労働者パイパー。これを掛けると地球に侵入してきているエイリアンを見分けることができるのである!そして、密かに彼らが世界を支配していることが判明!奴らを殺らなければこちらが殺られるため、戦わねばならない…というもの。
 グラサンを掛けると『従え』とか『消費しろ』とかのメッセージが見えるようになります。これは明らかに行き過ぎた資本主義を仮想敵としています。正直、本作が作られたレーガン時代よりも、現代の方が新自由主義が熟成されているので、よっぽどリアルだったりします。ヘタにグラサンを掛けたら、私もエイリアンを殺しまくってしまうかも。

 それ以上にヤバいのが、グラサン掛けると隠されたメッセージや侵略者が見えるという設定です。本作ではグラサンは善い者のアイテムですが、大変危険ですね。グラサンに映る姿が絶対に真実と言い切れないからです。思い込みかもしれない。
 これが真実ではないとなると、パイパー一派の活動は恐るべきテロリズムです。パイパーらは異星人をガンガンぶち殺していきますが、これが勘違いだったら?異星人が決して支配したりしようとしない友好的なタイプだったら?
 現代はネットとかSNSが『真実が見える(ように錯覚する)グラサン』として機能しているように思いました。その結果が移民排斥などのヘイトや私刑、フェイクニュースにつながっているように感じます。


 主演のロディ・パイパー、私は晩年のパイパーしか知らなかったのですが、ヤングパイパーが意外なほどカッコいい。
 途中に長尺のレスリングシーンがありまして、パイパーの見せ場になっていました。本来パイパーは技が少ないヒールで(しゃべくりと間と受け身で魅せるタイプ)、ナックルとスリーパーだけで試合を作る職人として評価されています。しかし、本作だとスープレックスなど割とハデな技を繰り出していました。でもスリーパーは見せなかったな。
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