くりふ

ラ・ワンのくりふのレビュー・感想・評価

ラ・ワン(2011年製作の映画)
3.5
【ハリウッド味のボリウッドランチ】

予告編でイマイチ感を受けたので、劇場へは行かずDVDで。私的にはそれで正解。

ハリウッド映画のおいしいとこマサラな製法は『ロボット』と同じだけれど、こちらは熟成足らずなのかボリウッド味薄し。インド人ばかりの聖林製スカスカSFみたい。面白いけれど3時間はキツイですね。90分くらいに濃縮したらかなりよくなったのでは?

ゲームキャラが実体化して闘う、というネタは何度もあったと思いますが、物語の基はターミネーター2ですね。で少年とロボの友情に、夫婦愛が絡む。機械混じりの擬似家族に、不思議な温かみが出てくるところが面白い。もひとつ具体的な求心力があれば、元ネタ気にならぬ秀作になった気が。

シャー・ルクさんは、私には可もなく不可もなく、という感じでした。ヒロインのカリーナーさんは、小林幸子的レイアウトのお顔に馴染めず…。で役柄的に地味なのはいいのですが、どこかにちょっと、華がほしかった。同僚役Shahanaさんが小振りでも光ってたから、もっと出して欲しかったな。

『ロボット』絡みだと、元々主演はシャー・ルクの予定だったそうですし、本作が『ロボット』のヒット?を受けて作られた面はあるのでしょうね。でラジニ様がカメオどころでない出演をして、ヒロインに拝まれてます(笑)。

と、作品についてはその程度なのですが、あまりインド映画をみない私には、その動向を知るヒントがありそうに思ったので、ちょっと調べてみました。特に前半英国が舞台、後半インドに帰る、という本作の構成が気になって。

で、「アジアのハリウッド」という書籍が、素人の私には参考になりました。

○2005年、印と英は政府レベルで映画の共同制作を推進することで合意した。その初めての成果が『スラムドッグ$ミリオネア』。

○欧州では、インド系の人口が集まる英国で、インド映画は安定した興行収入をあげている。『ボス』は第1週でトップ10に入る快挙だった。

○イスラム教徒の名(カーン)を持つシャー・ルクは、英国で人気がある。

○ヒンディー映画は最近、西洋的要素を積極的に採り入れる傾向にある。

○幾つかの理由で、コスト削減と効率化ができる海外ロケが増えている。

…等々、これら基礎知識を得るだけで、本作がこういう作りになることが、スッキリ納得、できちゃった(笑)。だからって面白さ増ではないですけど。

実際のところで、本作が世界でどのように受容されたか?ウケたのか?その辺り、知りたいところではあります。情報ありましたらキボンヌ。

シャー・ルク『恋する輪廻』や、ヒンディー映画『きっと、うまくいく』等、『ロボット』のおかげなのか、今年は少し、インド映画が増えそうですね。ハリウッドのスカスカ大作より、元気あるそちらの方が、私は楽しみです。

<2013.1.15記>
くりふ

くりふ