菩薩

男はつらいよ 寅次郎物語の菩薩のレビュー・感想・評価

男はつらいよ 寅次郎物語(1987年製作の映画)
3.9
シリーズ39作目、マドンナ:秋吉久美子。

今作は恋愛よりも人探しメインのロードムービー形式、死んだかつての仲間が残した幼子の母親探しの旅に出ます。

とらやを訪ねる野球帽を被った少年。「寅さん知ってる?」と、その少年が差し出す年賀状の汚い文字は紛れもなく寅さんの筆跡。少年の名は秀吉、かつての商売仲間、般若の政の忘れ形見、その名付け親がなんと寅さんで、俺が死んだら寅を頼れと言い残したとの事。その名の通り般若のごとき性格の父親に耐えかねた母親:おふで(五月みどり、巨乳)は家出、タイミングよくとらやに帰ってきた寅さんは、一刻も早くおふでさん(巨乳)に合わせてやろうじゃないかと、早速秀吉連れて旅に出ます。蛇の道は蛇、次々あたりを付けては足を運ぶものの、すでにおふでさん(巨乳)の姿はそこいらになく、そうこうしてるうちに、子供の扱いを知らぬ寅さんに引き回された秀吉がシビアな発熱、おろおろするしか無い寅さんに助け舟を出すのが本作のマドンナ秋吉久美子演じる隆子です。そこから奇妙な疑似親子関係が始まります、寅さんがパパ、隆子がママ、互いをそう呼び合い一時の夫婦関係を演じる二人。互いに恋愛運が無い二人はなんとな~くいい感じに、いっその事母親探しは止めちまって三人で柴又へ…なんて思いつつも、ついにおふでさんの居場所も判明。旅立つ前夜、別れを惜しみ涙を流す隆子と3人で川の字で寝そべるシーンが泣けますが、秀吉まさかのおもらし、寅さんまさかの飲尿で台無しに(笑)隆子と別れ、一路おふでさん(巨乳)のいる伊勢志摩へ向かう寅さんと秀吉、無事再会を果たす親子、子供の膝にすがり、「ごめん、ごめん。」と涙を流すおふでさん(巨乳)が泣かせますが、一人旅立とうと決心する寅さんを追いかける秀吉がもう…ありゃ反則。が、ここで終わらないのが今作の素晴らしいところ、さらに追い打ちをかけるようにまたすっからかんの寅さんの財布にお札を入れるさくら、で、クライマックスのあの超名シーンです。いつものように柴又を後にする寅さんに満男は聞くのです。

「人間てさ…、人間は、何のために生きてるのかな?」

さて、寅さんはなんと答えたでしょうか、そしてあなたなら、なんと答えますか?ちなみに僕は未だに、その答えが見つからずにいます。

その他にも、般若の政の位牌相手に、寅さんが一人酒を呑むシーンであったり、2代目おいちゃん松村達雄さんが医者役(耳鼻科)で出てきたり、どつき漫才のパイオニア正司敏江さんで大いに笑えたりと、なかなか充実の一作、是非ご覧くださいませ。
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