りっく

デスプルーフ in グラインドハウスのりっくのレビュー・感想・評価

5.0
もう「サイコー!」という言葉しか出てこない。
タランティーノは時間軸をずらす等、革新的な演出が特徴なのかもしれない。
だが、何といっても「復讐劇」に一番の魅力がある。
映画内ならではの、弱者が強者をメッタメタにする様。
間違いなく溜飲を下げる、カタルシス満点のラストまでのノンストップ感。
本作は映画の構造としては単純な分、それが最もストレートに爆発した大傑作だ。

本作は大きく2つに分けられる。
前半はカート・ラッセルが如何にヤバイ奴かを表すパート。
車内やバーでのガールズ・トークの面白さも、やはりタランティーノならでは。
会話の内容からようやく1人1人のキャラクターが見えてきたところで、全員をスカッと殺す。
ダラダラと続く無駄な会話と、爆発的な破壊力を持つ瞬発的な展開。
これぞタランティーノ作品ならではの魅力。

後半は観る者の度肝を抜くカーチェイス&復讐劇。
『バニシング・ポイント』で通じ合う、女たちと男。
ヤバイ状況なのに、2台の車はいつまでも突き進んでいく。
敵と味方というよりは、同じスリルを共有する「同士」に出会えた楽しささえ感じる。
ハンドルを握る女、ボンネットにしがみ付く女、車の魅力に取りつかれていく女。
そんな女たちの顔のアップだけで、感情を鷲づかみにされる。
そして意外とヘタレだったカート・ラッセルを、見事にボッコボコにするラスト。
個人的にはタランティーノの最高傑作と言っても過言ではないと思える、愛すべき一本。
りっく

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