メモ魔

ブレイブ ストーリーのメモ魔のレビュー・感想・評価

ブレイブ ストーリー(2006年製作の映画)
3.2
めっちゃ久しぶりに見た。

一貫して作者が伝えたいことがなんなのかが伝わってこなかった。
いや所々伝えたいことが何なのかは伝わってくるんだけどそれに一貫性が無くて全部薄味に感じた。
あと物語追ってく上で矛盾?っていうか不可解?な部分が多くて感情移入しづらかった。
あと声優がちょっと下手、、、

内容の不可解な所でいくと例えば最後のシーン。
ミツルが現世に行ったらみんなの記憶から抜け落ちていて、でも下駄箱で妹と一緒にいる所に遭遇するシーン。
意味不明。視聴者がそうあって欲しいってのを見せるのが作品の良さとイコールには必ずしもならないって言うのをこの作品から大いに学んだ。
こんな作者都合主義で死んだ人間が生き返っちゃったらミツルが死に際で自らの過ちに後悔もあったけど最後に妹と一瞬でも会えて天国に召しましたって演出(これも薄味だったけど)すらも底辺に落ちる。
それか女神の気まぐれとか?
だとしたらビジョンに行く前の記憶までみんなの中から消す必要あるか?
↑あるか。ミツル、あっちの世界に行く前にこっちの世界で魔法使いまくってたもんな。ミツルが暮らしやすいように手を加えてやったってことか。
仮にこの考察で筋が通るとしてもつまらん考察すぎる。女神が[願いは一個ルール]を破ってまでミツルやワタルに尽くす理由を描いてなかったからこれじゃただの妄想劇で考察とはよべん。

例えばずっと語りかけてくれる女の子が魔物じゃなくて女神の声だったならまあその展開になっても良かったと思うけど、、、
そうじゃなかったしな〜。
ってか声の主を悪魔にした意味あったか?
正直まじで必要なかった気がするんだが。
それより女神が現世でのワタルの何かしらの行いを見てこの子に願いを託してみよう(女神は今まであらゆる下賎な願いを聞き入れて人間に心底消沈してるみたいな設定)みたいな展開にして、、
とかなんでもあったやん。悪魔にした理由はまじでないやろ。
いや悪魔にしてもいいけどさ、そしたら悪魔が女神に取って代わってまで成し遂げたかったことが何なのかくらい言ってくれてもいいでしょ。

幻の中だけど父親が発狂して[全部やめてやる]って言ってたシーンは良かったな。
仕事、仕事仕事、買いたい外車も我慢して、我慢して我慢して、お前らは食いたいもん食いやがって、それでも俺には一切感謝すらない。もううんざりだ。大人も、夫も、家族も、父親も、全部やめてやる。
このセリフは好きだな〜。世のお父さん代表やん。
このセリフ思い返すと父親に日頃の感謝ができなかった母親と息子にも問題ありだな。

あとこの作品で度々出てくるセリフとして
[大人になれば分かる]
ってのがある。このセリフの後に主人公が
[それなら僕は、大人になんてなりたくない。子供のままでいい。]
ってのがあったけどこのシーンも好きだな〜。
考えさせられたのはみんながみんな大人になりたくてなってるわけじゃ無いってこと。父親母親は大人になれば分かるなんて甘美な蜜で子供を大人へと誘導するしね。
そんな父親が[大人も、父親も全部やめてやる]なんて言い出すんだから末期よな笑
大人は大人で大人を夢見た無邪気で幸せなあの頃を自分の娘息子に投影するから
[お前は幸せなんだぞ]
なんていう自分の定規を相手の感情に突き刺すようなことになるんよな。

あと内容的に気になった所でいうと、、、
これどっからが夢だったの?ってところか。
結局現実世界は何も変わってないってところからそういう考察もできるよな。
俺的にはこの映画が始まって最初のシーンから既に夢って説なら筋が通ると思う。

・ワタルの友達が最初お化けシーン次の日朝の登校で[転校生が入ってくるらしいぜ]って言ってたのに、最後のシーンで全く同じセリフをワタルに言ってることから、少なくともこの登校シーンは夢であることは確実。
でなきゃこのワタルの友達は生粋のバカなのか?
・最後のシーン。母親が体調を崩していた描写がほとんどない事から母親が倒れていたのはワタルの妄想である可能性大
・夢に出てくる内容はワタルが認知している必要があることから、恐らく学校生活のどこかでミツルなる少年が転校してくることは小耳に挟んでいた(妹がいることも)
※ただしこの2人に両親がいないこと、加えて父親の不倫が原因で一家無理心中が行われていたこと。はワタルの妄想である可能性大
・最後のシーンからワタルには父親が既にいないことが見て取れる。離婚は事実のよう。
・朝ご飯を作っているのがワタルなのに母親が一切驚いていない様子から、現実世界では普段からワタルが朝飯を作っていることが窺える
※映画最初のシーンでは母親が朝飯を作り夜更かしをしたワタルが急いで起きてくるって内容だった。

以上の理由から、この物語は、母子家庭で育つある少年が、少々だらしないが愛情を注いでくれる母親と、そんな愛せる母親を捨てていった父親に対し、[大人]という悪いレッテルを貼りつつあった、、、みたいなバックボーンありきなんじゃ、?
そんなある日の夢の中で、まるで日頃の鬱憤を晴らすかのように、小学五年生らしく寝坊と夜遊びをして、ついには父親にお前みたいな大人にはなりたく無いと言ってのけた他、それでも自分、そして母親のために帰ってきて欲しいっていう本心を明かしつつ大冒険をしてみせた
っていう筋なんじゃないじゃろうか。

んーこんな感じのストーリーでやってくれたらもうちょい好きだったかも。

あと夢の中で5つの宝玉を集めるやつあったけど、あれももったいない使い方だった気がする。
せっかく最初ビジョンに降り立った時
[なんじ、何を望む]
[元気、知識、勇気、、]
みたいなシーンがあったんだから、宝玉を手に入れるごとにその項目を主人公が学んでいくみたいなことにすれば良かったのに、、、

あとワタルが朝食でパンを食べるシーン。
この後離婚するならここで少し夫婦の間に亀裂があることを示唆するような描写が入るべき。
急な離婚すぎてびっくりした。感情移入がさっぱりできん。
それともあえて入れなかったのか?
その違和感から夢幻であることを伝えようとしたのか?
違うか。別にここで夫婦の亀裂シーンが入らなかったからってイコール夢ってことにはならないしな。


総評
3.2点
自分で考察すればするほど穴が多いストーリーだと思った。素人の俺がここまでボコボコに言えてしまうストーリー構成ってプロとしてどうなんだろうか、、

最後にこれだけ。
この映画って、どこがブレイブなの?
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