メモ魔

キャッツのメモ魔のレビュー・感想・評価

キャッツ(2019年製作の映画)
3.0
ミュージカル映画としてこれは見ておかなければと思い至り視聴。

結論からいくとかなり理解に苦しむ作品だった。
映画とは監督が視聴者に伝えたい思いをストーリーに載せて拡散するための手段だと思っている。
果たしてこの映画にその【伝えたいメッセージ】があったのか。自分の拙い理解力では厳しかった。

とにかく酷評になってしまうが、作品を見た上で自分が何を思ったのか。それは絶対に言葉に起こしておきたい。ということで以下酷評

・カメラワークのブレ
カメラワークのブレが非常に気になる。
特に最初のシーン。主人公が昏倒しているのを表現する為にわざとカメラワークにブレを使用しているのかと思ったがどうやら違う。なんと映画通してまるごとカメラが揺れる揺れる。
この揺れにはなにか監督が伝えたいメッセージが隠れているんだろうか。
単純に考えて見ずらい。見ずらいということはどういうことかと言えば、つまり映画に集中できない。映画に集中できないと感情移入できない。すると監督の伝えたいメッセージに触れることができない。とにかく負のスパイラルだ。
なんで揺らしたんだろう。

・地面を移動するキャラの違和感
CGを多用した映画だからか。
分からないが、キャラクターが地面を歩くのと、そのスピードが合致していなくて、まるで床を滑りながらキャラクターが移動しているように見えた。とにかく違和感がすごい。
ミュージカルにCGを使う試み自体がかなり尖ったものであるが故にこういったCG特有の不気味さがかなり全面に出てしまっていた。この不気味さまでも含めて表現と言うのであれば、この不気味さを使って視聴者に何を伝えたかったのかが知りたい。

・イマジナリーライン無視
映画について詳しいわけではない、映像技術について詳しいわけでもない。ただ、映像を撮る上でこれだけは守らないと違和感の原因になる。という技法の一つにイマジナリーラインというものが存在する。
シーンを撮影する時は対象とカメラから生じるラインを超えてはいけないと言うもの。
この映画はこれをこれでもかと言うくらい無視していた。
どこに誰がいるのかという立体的な把握がしづらい。←もちろんこれも表現の一つなのだろうが自分の拙い理解力ではただただ見ずらい映像に感じた

・ミュージカルの使い方について
個人的にミュージカル映画はこよなく好き。俳優が心の内に秘める感情を体全体で表現することで、見ている側もその感情にぐっと近い場所で共感できるから。
ただしこれは、あくまで背景にストーリーがある時だ。
背景にストーリーがあって、そのストーリー上で主人公が何を思うのか。これを想像しながらミュージカルで踊る主人公の感情を汲み取る。これが自分の思い描くミュージカル映画。
キャッツは主体がミュージカルな為、ミュージカル自体の完成度は高くても、肝心のストーリー背景が存在しない。キャラクター一人一人が胸に秘める思いを汲み取れない。だから感情移入できない。
この映画を見て分かったのは、ミュージカルはやはり、踊る人たちが何を思い、それをどう体で表現するのか。これが重要な表現方法だと言うこと。
急に全力の演技でミュージカルを見せられても、申し訳ないが体柔らかいなぁ。くらいにしか感じられない。

・敷居が高い
恐らくストーリーを元々知っていて、キャラクターそれぞれが何を思い何を目標にミュージカルに感情を載せるのか。
これを熟知している人なら楽しめる映画なんだと思う。ミュージカル自体の完成度は高い。
それ故に敷居の高い映画だと感じた。背景知識が自分には足りなすぎた。

・曲memoryが良かった
ここまで酷評してきたがここだけは本当に良かった。過去に栄光を見た女性が失墜した後も心だけは清くあろうとした。そんな背景を持ったキャラクターが歌ったmemory。
いつか必ず、でも必ず届かない場所へ手を伸ばす必死さと虚しさがこの曲に表れていた。
やはり音楽を導入する時はキャラクターの背景、バックボーンがあると感情移入しやすい。

【総評】
ミュージカル映画は大好き。ただキャラクターのバックボーンが説明されないまま急にミュージカルに入る映画には難を示す。
2.9点
にmemoryの加点を加えて
3.0点
メモ魔

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