金春ハリネズミ

北斎漫画の金春ハリネズミのレビュー・感想・評価

北斎漫画(1981年製作の映画)
4.0
半端ない力技で場外へ。

語りもテンポもめちゃくちゃで。
投げやりなのかマイペースなのか。
まぁどっちでもいいねんけど、これが新藤兼人なんですか。

おもきし踵で突き飛ばしたくなる本作。
しかし映画が終わってみるとこれは不思議なこと。

なんか、わかる。
なにがわかったのかはわからないけど。
葛飾北斎が女体に見出したイデアがなんとなく、わかる。
そういうふうに作ってるでしょこれ。
超不思議。めちゃくちゃのくせに伝わるようにできてる。は?

これが新藤兼人なんですか。
なんなんですか彼のこの珍妙な技術は。
意味がわかりません。

たしかに記憶に残る体験に違いないし、それが表現にとって重要なファクターなのは事実。

大林宣彦らも例に漏れず、独自のセンスと文法で勝負する映画職人には溜飲が下がる。

だから貫き通したら案外上手くいくってもんです。
って言われたような気になる。

本作は好きです。
タコシーン決定打。
北斎を追体験した気分に浸った。
変則的だけど「映画」としてはヴァーチャルが最大の結果すよ。

年寄りメイクが多分わざと誇張されててもはや原型を留めていない緒形さんと西田さんに爆笑。
隠す気のない西田のカツラ面いい味出してるす。