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北斎漫画のHKのレビュー・感想・評価

北斎漫画(1981年製作の映画)
3.5
公開中の『八犬伝』を観て、そういえば滝沢馬琴と葛飾北斎の掛け合いは他の映画でも見たことあるなと本作を思い出し、U-NEXTで配信してたので鑑賞。
出てる人みんな若いと思ったらもう40年以上も前の映画でしたか。
公開時は劇場では観ておらず、後にTV放送された際にチラチラと観た記憶。

チラチラと見ていたのはやっぱり公開時に話題となった今や二大女優のヌードシーン。
もう脱ぎっぷりがよすぎて、今回通して観てもやはり一番のインパクトはそこでした。
も、もちろん面白かった点は他にもあるんですけどね。
本作は戯曲の『北斎漫畫』を新藤兼人の脚本・監督で映画化したもの。
もとは舞台ですから、こんなに裸ばかりのわけはなく、そこは新藤兼人の脚色なんでしょう。

北斎と馬琴はそれぞれ緒形拳(当時44歳)と西田敏行(当時34歳)が演じています。
緒形拳の付け胸毛がスゴイことになってますが、北斎はほんとにあんな胸毛だったのか?
共演はフランキー堺や乙羽信子などの大ベテランの他、チラリとしか出ませんが十返舎一九(宍戸錠)、式亭三馬(大村崑)、歌麿(愛川欽也)など聞いた名前のキャラも多数。
さらに観世栄夫、殿山泰司、初井言江、戸浦六宏、梅津栄などなど・・・

で、上記二大女優のヌードというのはもちろん乙羽信子や初井言江のことではなく、魔性の女お直を演じる樋口可南子(当時23歳)と北斎の娘お栄を演じる田中裕子(当時26歳)。
ホオズキを口でギュっと鳴らす妖艶な樋口は同名の二役、田中はなんと15歳から70歳の老女までを一人で演じ、それぞれの歳でヌードまで演じ分け(?)ているのがスゴイ。

本作はまた、全編なんだか落語のようなとぼけた味で、終盤の老けメイクはリアルじゃなくて顔にシワを書きまくったいかにも舞台風。
そのせいもあって、北斎と馬琴の掛け合いがドリフのコントのようにも見えてきます。

ところで、本作の公開時に一番話題になったシーンは北斎の「蛸と海女」を再現した巨大なタコと裸の樋口の絡み(タコだけに)のシーン(絡みつくタコの足の操演がまた上手い!)。
で、タコとの絡みで有名な映画と言えば、他にイザベル・アジャーニの『ポゼッション』(アンジェイ・ズラウスキー監督)がありますが、なんと公開年度が同じ!
『ポゼッション』の方が4カ月早い! 惜しい!って何の話をしているのやら・・・
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