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シコふんじゃった。のでぐじっとのレビュー・感想・評価

シコふんじゃった。(1991年製作の映画)
4.4
母が大好きで、一時期ずっと家のテレビでこれが流れていた覚えがある。
その頃はお話もわからないほど子供だったが、大人になってあらためて観るとまた印象が少しかわった。
主人公はキザでかっこつけで、いつも女のことばかり考えている。当然相撲なんてダサイとレッテルを貼って、やりたがらない。流されて入部しても練習は投げやりだった。そんな彼が切っ掛けはどうあれ本気になり、汗水流して相撲に夢中に取り組む姿は、ほんとうに最高にかっこいいと思った。
周防監督の作品にはよくあるのか、主演格のほとんどはお世辞にも演技がうまくない、と思う。自分に演技の善し悪しを語るほどの審美眼があるとは思わないが、棒読み演技をするひとばかりだ。それでも演じきり、次第に本気の感情をむき出しにしていく様子は、やる気のないところから這い上がっていく相撲部の面々に重なっているような気がする。だから、何度か観るうち味が出て、「この演技がいいんだ……この演技だから良いんだ……」となってくる。恐るべし周防マジック。