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夜明け告げるルーのうたのでぐじっとのレビュー・感想・評価

夜明け告げるルーのうた(2017年製作の映画)
5.0
大大大大大大大大傑作。

湯浅政明監督、一生ついていきます。

なぜだ、なぜこんなに上映が少ない、なぜこんなに話題になっていない、広まれ、みんなもっと観に行ってくれ、流行って上映増えてくれロングランしてくれ! とおかしなテンションになるくらいの良作だった。

アニメ好きは勿論のこと、「ジブリ以外のアニメはちょっとな~」「日本の映画はちょっとな~」なんて抵抗感のあるひとも、騙されたと思って観てみて欲しい。
「萌え」とはちがって、キャラクターはちゃんと活き活きとした「愛嬌」を持っている。
それからお話にも中身が詰まっている。主人公は等身大の悩みをもって、葛藤し、前を向いて成長していく。
スマホや動画サイトの普及した現代を生きる中学生と、伝説の人魚のルー。ふたつが交わり新しいメッセージを送ってくれる、温故知新の、ホンモノの物語だった。芯のある骨太な物語でありながら、コミカルに笑わせ、しっとりと感動させてくれもする。
映像も、音楽も、演出も良い。絵ならでは・アニメーションならではの「ウソ」も、この上なくうまい形で盛り込まれている。

これが楽しめなければ胸を張って「アニメは肌に合わない」と言って良いと思う。その最後の関門だとおもって、お願いだから偏見を一度忘れて観に行ってみて欲しい。良かったら、身の回りのひとに広めて欲しい。

大傑作「この世界の片隅に」の大ブレイク&ロングランは、小さな口コミではじまった。上映館の少ないこの作品を広げていくその端緒は、ひとつの、ひとりの感想だとおもう。良かったね~なんて一言でいいのだ。そう、こんな気持ち悪い長文を書くのはわたしひとりでいい。
ノンフィクションに基づいた「この世界の~」とは違う。若者ならではの無茶苦茶さとかアニメならではのウソがこれでもかと盛り込まれている。それでも観たひとが受け取るメッセージはホントなんだとおもう。フィクションだから、粗があるから、ウソがあるから、そのメッセージが偽物になったりはしない。映画を観て受け取ったら、何かを言いたくなる、そういう作品だ。

最後にもう一度、大傑作だった。絶対もう一度観に行きます。