でぐじっと

ラ・ラ・ランドのでぐじっとのネタバレレビュー・内容・結末

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

どっぷり浸れる二時間と素敵な余韻をくれるミュージカル映画。
主演のエマ・ストーンの透き通るような歌声と衒いのない演技が果てしなく最高だった……。

OPからEDまで、徹頭徹尾音楽が最高。
オープニングアクトがまずすごい。世界中の音楽が入り乱れ、停滞した高速道路の車体から抜け出したあらゆる性別・あらゆる人種のひとらが踊る。振り付けはバラバラなようで揃い、あるいは揃っては離れを繰り返して、徐々にひとつの動きになっていく。この時点で観に来て良かったと確信した。
が、なにより自分が引き込まれたのは2つめの曲。ルームメイトたちと喋るなにげない会話が、いつのまにかバックの劇判と揃い、韻律が揃いはじめ、リズミカルになり、気づけば音楽になっている。なんともはやの衝撃だった。「はいここから劇パート」「はいここから音楽キュー!」ではない。「なんかこの人達急に歌い始めたね」ともならない。言葉のすべてが音楽であり、シーンのすべてがミュージカルなのである。
ここで度肝を抜かれて、あとの2時間はほんとうにあっという間だった。

オマージュあり、パロディあり、過去の名作ミュージカルへのリスペクトと制作陣の「ミュージカル」に対する愛情がこれでもかと伝わってくる。それも映像のタッチから画質、楽曲のテイストから音質まですべてにこだわり抜いて似せているのがすごい。
一度の鑑賞だけですべてを拾いきれていないとは思うが、パロディ(あるいはインスパイア)元の作品を列挙すると、『シェルブールの雨傘』『メリーポピンズ』『マンマ・ミーア!』『雨に唄えば』あたりだろうか。おそらく他にもある。
「ちょっと匂わせました」なんてレベルではないド直球パロディのオンパレード、「こういうの、みんな見たいだろ!」「これが俺の好きなミュージカル映画だ!」と画面から弾け出す情熱。元ネタ映画を楽しんだひとならニヤニヤすること請け合い。ミュージカル映画好きは即刻映画館に行くべき。オススメ。