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プラダを着た悪魔のマングースOLのレビュー・感想・評価

プラダを着た悪魔(2006年製作の映画)
4.4
🖋あらすじ
名門ノースウェスタン大学を卒業し、ジャーナリストを目指しているアンドレア・サックスは、幸運にも何百万の女性の憧れとする仕事・ファッション雑誌『ランウェイ』の編集部へと就職した。しかしその編集長でファッション業界に対し絶大な影響力を誇る、ミランダ・プリーストリは自分の身の回りの世話をアシスタントに押し付けるなどの横暴を発揮する最悪の上司であり、今までに何人もがこの仕事を辞めていたのであった。ファッションには何の興味もなかった彼女であるが、本来の目的である文芸誌での仕事への足がかりとして、彼女の悪魔のような要求に耐えていく。

「 まるで──“悪魔”! 」

🖋感想&考察 ⚠️ネタバレ注意⚠️
成功に囲まれた輝かしい日々と、平凡だが充実した私生活の二律背反を上手く描いたサクセスストーリー。私はこの作品が大好きで、自信がなくなると定期的に観てしまう。すぐに他人を無能扱いしたり、早口でスケジュールや指示を言ったりなどまるで悪魔のようではあるが、ランウェイの編集長として成功しているミランダに振り回されるアンドレアは、最初、自分はファッションには興味がないと言い張ってさえない服を着ている。しかしミランダやその部下の言葉に心を動かされ、彼女は変わっていくのだ。自分には全く関係ない、と思っているものが世の中には溢れているが、実は全く関係していないものなどないのかもしれない。それを理解出来ないと突き放すのは逃げているだけだ、とこの作品は教えてくれる。
ミランダは強い。仕事のためなら私生活を投げ売り、他人を蹴落とすことさえ厭わない。が、同時に弱い。彼女が化粧と洋服を纏わずにアンドレアの前に現れた時、それまでと同一人物だとは思えないほどに弱々しい女性のように見えるのだ。しかしそれでも挫けずに凛として人々の前に現れる彼女の姿は、本当に悪魔だったのだろうか。

「 何を言ってるの、皆が憧れるのよ 」

憧れの裏に隠されたもの、そして彼女たちが下す決断。ラストのシーンは何度観てもシビれる。もしも私がミランダのような上司に出会ったのなら、不幸であるだろうか、それとも。