第3逃亡者

バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2の第3逃亡者のレビュー・感想・評価

5.0
魅惑の深海パーティーの裏でスポーツ年鑑を追うシークエンスの引き締まったアクションと画面の連鎖ぶり。このあたり、アルコールを持ち込んだビフたちが教頭先生に見つかる姿をマーティの見た目(双眼鏡)で追わせるのとかがもろ「裏窓」になっていて、そこからヒッチコック的なサスペンスが折り重なって映画のピークを形作っている。階段のところでは騒音がやんでコツコツ…と足音でサスペンス、教頭室でのあわや見つかってしまうかもという場面では視点を動かして机の下の隠れた空間を見せる、など。マーティはピンチの際、池に飛び込み、ビルを飛び降り、ステージの上からウエイトを操り、積極的に重力と戯れることによって敵を倒していく。これは空飛ぶ車やホバーボード、ぎっくり腰を補助する機械(なんやあれ)に象徴される重力に打ち勝つ道具に対しキートンのように身体的に乗り越える強さを肯定している。最後デロリアンの旗にぶら下がるのは物語がパート3へと続くので宙吊りということだろう。悪天候で着陸できないデロリアンも宙吊り。スポーツ年鑑を燃やすんだ!とドクが言ったときにビフのオフィスからかっさらってきたマッチがさも当前のように取り出されるのに驚き、感動した。稲妻が走り、デロリアンが消える。空を見上げるマーティの頭上を焼き切れた旗がはらはらと舞い、水の敷かれた舗道の上にべしゃりと落下する(このショットが素晴らしい)。絶望的な状況で、にわかに雨が降り始め、そこへ電報局が救いの手紙を「正確な日時に」持ってくるのは、最初に未来へ行った場面でドクが吐いた「未来は天気予報は進化して正確だけど、郵政はぜんぜんだめ」という台詞の逆になっている