YasujiOshiba

エリ・エリ・レマ・サバクタニのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

-
U次。25-38。昼間『BAUS』を観た。青山真治だったらどう撮っただろうかと思ってこの作品にキャッチアップ。ああそうか。音楽だったんだ。『BAUS』も音楽が大きかった。大友良英の音もそうだけど、映画館の入り口スペースにテーブルをならべて3本のギターの伴奏で歌う歌とか、へっぽこ弁士の峯田和伸(みねた かずのぶ)の歌とか、ともかくも歌、音楽、そこに映像があり、映像には当然のように音楽があるというあり方。

これもそうだ。というか音楽が束の間だけ病を満腹にさせて眠らせるのだという発想。だから中原昌也と浅野忠信のノイズミュージックがあり、全体を支えるのが長嶌寛幸なわけだ。北海道の平原はアメリカ大陸みたいに広いのだけど海があって曲がりくねった道があって丘とともに波打っていて、波に揺られて漂流しそうなちっぽけな人間がいるという仕掛け。

「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」はアリーチェ・ロルヴァケルのデビュー作『天空のからだ』(2011)でも鍵となるキリストの言葉。気が狂ったと思われているキリストが十字架の上で神に向かって怒りをぶつける言葉なのだけれど、その怒りが天と空のあいだに開かれてあることの覚触だった。

ここには神ではなく死があるのだけれど、死んで初めて身近に感じるのが人なのだという。病気であろうがなかろうが、いずれ死ぬ。ただ病気で死ぬのと生きて死ぬことの違いだけなのだから、そんなことはわすれて美味いビーフシチューやスープを作り食べるのがよし。そんな生と死のあわいの時間を引き伸ばしてくれるものがノイズであり、その反復であり、増幅された弦のかきならされる波動なのだ。

なるほどミュージカルなのかもしれない。だからナンシー・シナトラの『The end』がみごとにはまる。

At the end of the rainbow
You'll find a pot of gold
At the end of a story
You'll find it's all been told

♪虹の終わりに
♪ポット一杯の金が見つかる
♪物語の終わりに
♪すべては語られたとわかる

But our love has a treasure
Our hearts can always spend
And it has a story
Without any end

♪でもふたりの愛には宝物がある
♪ふたりのハートがいつでも楽しめる
♪そこには物語もあるのよ
♪決して終わることがない

At the end of a river
The water stops it's flow
At the end of a highway
There's no place you can go

♪川の終わりには
♪水が流れを止めるところがある
♪ハイウェイの終わりには
♪もうどこにもゆけなくなる

But just tell me you love me
And you are only mine
And our love will go on
'Til the end of time

♪でもね愛していると言ってくれたら
♪あなたはわたしだけのもの
♪そしてふたりの愛は続く
♪時間の終わるときまで

そんな彼女がたとえ亡くなっても、亡くなったからこいつまでもそばにいる。たとえ神に見捨てられたと思っても、見捨てられたからこそ救われる。エリ・エリ・レマ・サバクタニ。そういう映画なんだよね。
YasujiOshiba

YasujiOshiba