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吶喊(とっかん)のPARADISOのレビュー・感想・評価

吶喊(とっかん)(1975年製作の映画)
4.7
2019年1月3日 所有DVDにて鑑賞。

喜八プロとATGの共同制作で作られた作品。
主演である岡田裕介(現・東映グループ会長)が初めてプロデュースした作品でもある。
明治元年の戊辰戦争を舞台に東北の貧乏農家の青年が、数多の衝動に駆られて飛び込んだ戦場での奔走ぶりをコミカルに描いた作品。
撮影は木村大作、脚本・監督は岡本喜八。

多感な青年の生と性を描いた青春映画の趣もある時代劇だが、喜八監督のライフワークとも言える、権力や戦争への抵抗も確り内包した作品。
岡田と共に主演を務めた伊藤敏孝が演じる千太の溢れ出すバイタリティーと、気持ち良い程の短絡さが本作の軸。
砲弾飛び交う戦場で好いた女と一心不乱にまぐわう姿の滑稽さと痛快さに、戦争への強烈なアンチテーゼが垣間見える。
強かに人を出し抜いて生き抜こうとするもう一人の主人公・万次郎の存在も良い。

ある日戦火が身近に迫った事を知り、巻き込まれていった千太の目に写る悲惨な状況への怒りと憤慨は、現代に生きる我々にも響く。
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