映画館を家にしたい丸

ドラえもん のび太と鉄人兵団の映画館を家にしたい丸のレビュー・感想・評価

3.8
ジュブナイル系sfアニメ映画の最高峰

この映画もう何度見たかわからないほど見てるが、ドラえもんという設定がいかに素晴らしく、sf的空想に飛んでいるのかを再実感した。

内容としては起承転結がわかりづらく、物語の起伏も少ない。それこそ、ドラえもんというコンテンツ特有の空気感は単発的な伏線が多く、全体でのテーマや、キャラ同士の対比成長はあまりない。
これはsf映画特有の現象で妄想にそれらは必要でない。だが、感情移入しづらいという欠点もある。
ロボットに対して感情移入することや物語の進行を妨げる要因になるゆえ仕方ないことでもあるのだが、、。
また、導入が途切れ途切れのため、後出しジャンケンのように思えてしまう。
だか、仕方ない、ドラえもんなんだから。
例えばエヴァで、後出しジャンケンして新型決戦兵器が戦闘中に出てきたらシナリオが雑に見えて面白くないだろう。

だが、ここで、少年少女たちが大きな存在と立ち向かい、そこで心打たれる展開を演出するジュブナイルsfは本当に素晴らしい。これはドラえもんのようなアニメでしかなかなか実現できないだろう。
少年少女が大きな存在と戦うよりも世界最高峰の存在が戦うほうが映像としては面白いからだ。ターミネーターやプレデター、エイリアン、MIBを見ればわかるだろう。
だが、だからこそ、ロボットを助けることや、ロボットと人間の境界とは違いとはなんだろうなど、子供だからこそ、純粋だからこそかんがえることがある。それは僕たちの心を浄化してくれる。
時に残酷なことを言うことや、理不尽に明け暮れ絶望するシーンも子供故のキャラ作りに心打たれるシーンは多い。

大好きなシーンとしては、リルルに行くなら打つよ!と言うシーンや、ラストシーン、ドラえもんたちがスーパーに買い出しに行くシーンなどがある。
展開的伏線を序盤や中盤に張り巡らせているのも素晴らしい。やまびこやタイムマシンなど展開に必要な存在は伏線はない。
だが、リルルという単体に注目すると彼女の感情の起伏がわかる.
最初にのび太くんに僕たちはともだちと言われた時、ともだち..?とハテナを浮かべていた。だが、ラストシーン、しずかちゃんが私たちは永遠に友達よ...というと、涙を浮かべ、友達...嬉しい! と語る。
友達という概念を理解し、それを喜ぶまでの起伏が感じられる。
また、行くなら打つよ!とのび太くんに言われた際、人間がわからなくなったリルルはそれを嬉しそうに受け止めて打って!と語る。だが、のび太の手は震えている。ガクガクと震え、目を瞑るもやはり打てない。彼女を打つことで救われる世界があると容易に想像できているのに。
そんな時、いくじなし!!とリルルに打たれてしまう。
リルルはそれにショックを受けたように口を手で覆う。打ててしまったことに、そののび太くんの優しさに。
そんな感情の変化を読み取った瞬間に心は何度も打たれる。

また、カットの多い本作であるが、大好きなシーンがある。
それはのび太くんがしずかちゃんの家でロボットから助けるシーンだ。ここマジで素晴らしい。絶対オマージュした方がいい。いろんな人が。

背景描画やそれによる演出もなかなか良い。
無難な朝を迎えることがハッピーエンドを象徴するシーンや、多くを語らず景色で見せるシーンも良い。これは良いくらいだが。

いつか、僕もジュブナイルsfを考えて創作したい。その時はこの作品に大きく影響を受けて制作したいと再確認できた。

追記
やはり都合のいいシーンや展開上の違和感はみんなに突っ込まれまくっていた。
都合のいいことは仕方ないとおもんだけどね、ドラえもんみたいな無限の選択が取れる設定を取ってる以上反論の余地は潰しきれないだろう。
また、リルルの感情の読みづらさや伏線の少なさはやはり突っ込まれまくってた。
これは僕も突っ込みたいが、この映画が好きだからツッコマない。
もしかして、ぼくって映画も好きだけどキャラが好きなのかもなこの作品は。
今までの別の映画の感想だったらたくさん文句言ってたかもこの映画に
行き当たりばったりの展開多すぎよ。
導入も展開との境界がなく分かりづらいし。それに無理矢理や導入も多いけどお約束だから仕方ないよね!