emily

からっぽのemilyのレビュー・感想・評価

からっぽ(2012年製作の映画)
2.9
 存在感のない男子高生・小判は誰からも存在を意識されていない時、テレポートできる能力を持っている。しかしその能力には全裸になってしまう欠点がある。あるとき家を追い出されてしまった小判は誰もいないはずのテレポート先でシーナという女性と出会う

小判を演じるのは清水尚弥。存在感のなさがしっかり表現されていて、河童になって存在感を得ていく変貌も、シーナと距離感も非常に心地良い。シーナ演じるのは平愛梨。後姿や下から彼女を捉えるカメラが彼女の魅力をしっかり引き出してくれている。

 存在感のなさとテレポートでコミカルに描きつつも、青春時代の淡い恋をチラつかせ、孤独だった少年がシーナとの出会いをきっかけに自然と大人とのかかわりを持っていく。スーパーの店長や河童の動きを教えてくれる人など脇を固める個性豊かな俳優勢も盛り立ててくれている。河童からのたまのエンディング曲への流れも穏やかでチープ感があり和ませてくれる。

 人は一人では生きていけない。いつまでも孤独で居ることなどできない。社会に居る限り、誰かとかかわり、その中で自分を見つけていく。自分の存在は自分でつくる。自分の居場所は自分で見つける。そうして周りのひとと関わり自分を埋めていくのだ。自分がいて周りの人たちがいる訳ではない。周りの人たちが居て自分がいるのだ。
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