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フィツカラルドのkazuuuのレビュー・感想・評価

フィツカラルド(1982年製作の映画)
4.0
アマゾンにオペラハウスを建てたい男の物語。東京国際映画祭で鑑賞。そして記念すべき800レビュー。

前半は、主人公のオペラハウスへの執着、そして旅の準備が描かれる。オペラ愛が溢れ出して、終始周囲から浮いている主人公が面白い。

そして後半、アマゾンの奥地に船が進むと、映画の空気がガラッと変わる。何かの鳴き声、船の進む音、原住民の太鼓の音、そして静寂。映像と音から、未知なる土地を進む緊張感が漂ってくる。
しかし、原住民の音が醸し出す緊張感のある展開の中で、ここでも主人公の空気の読めなさが炸裂し、場違いなオペラが大音量で流れ出す所は笑ってしまった。

そして、この映画のメインであろう「船が山を越える」、という映像。大木を切り落とし、ダイナマイトで山を切り開く。令和平成では考えられないような、危険かつ環境保護の面でアウトな演出が、CGなしで描かれる。爆発に驚き逃げ出す原住民の演技も、どこまでが演技でどこまでが本気か、よくわからないのが怖いところ。

船が山を越える、が先行してもっと狂った映画なのかと思っていたが、物語としても完成度が高く、ラストシーン含めて、良い映画だった。黒澤明が愛した映画、という特集の中での上映だったが、そう聞くと主人公のオペラハウスへの想いが、「生きる」に少し似ている気がしてくる。
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