【第35回カンヌ映画祭 監督賞】
『アギーレ』に続きヘルツォーク作品は2作目。ヘルツォークといえば密林、密林といえばヘルツォーク。一貫したテーマがある作品だ。
クラウス・キンスキー演じるフィツカラルドの底知れない狂気が怖い。密林にオペラ座を建てるという突飛なアイデアに向かって突っ走っていく。
終盤の船の山越えがとんでもない。狂人と言われても仕方のないアイデアで実行しようとする。
船員や先住民と共存しつつ、裏切られていく。果たして彼の野望は叶えられるのだろうか。その行き先は絶望だ。
こんな映画、ヘルツォークにしか出来ないし、今の映画界では無理だろう。ヘルツォークの強引とも言える映画作りの真骨頂。
『アギーレ』よりもフィツカラルドは人間らしい。クラウス・キンスキーの怪演がやはり素晴らしい。いるだけで事件が起こる気がするという唯一無二の存在だ。
壮大なスケールで映し出される画面のスペクタクル、怪優キンスキーの狂気じみた演技、過酷なアマゾンという環境、映画的な楽しさが詰まった一作だと言えるだろう。