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緑の光線のlamiのレビュー・感想・評価

緑の光線(1986年製作の映画)
4.6
夏になると観たくなる、ロメールの作品。瑞々しさと可愛らしい配色、ナチュラルな映像に心奪われました。不思議と何回も観ちゃう。あの一瞬の表情をジャケットにするところもさすがです。

7/2〜8/4までのデルフィーヌの日々が切り取られた今作。
"バカンスは家族や友人とわいわい楽しく過ごす" みたいな固定概念(特にこの頃のフランス映画はその要素強めな気が・・・)に囚われ、1人ぼっちのデルフィーヌは孤独感に苛まれる。

あのスウェーデン人のように自由や開放感を味わい一人でも楽しめる人は「一人旅」と言えるけど、デルフィーヌの場合は「放浪」に近いような・・・。
惨めだと思いながら山道を歩いたりする姿を見ているとなんだか哀れで居た堪れない気持ちに。

"自分自身と他人との触れ合いを取り戻そう"
道端に落ちていたトランプと共に、標識までもがデルフィーヌに訴えかける。
この時流れる音楽のワンフレーズが印象的*

一瞬しか映らないけど、ピンク×ブルーのお洋服を着たボブで優しく愛され顔のイザベルが可愛くてときめいた♡しかも彼女の座るソファの端にチラッとテディベアの顔が映り込んでいて(*´ `*)冒頭の美術館の日陰に入り会話するシーンも好き*

外で、緑を背景にテーブルを囲む食事シーンも色彩が素敵*赤やピンクの薔薇や、カーディガンの色、フランソワーズのカラフルなファッションが映えます。
「名称の問題よ。違うわ センスよ 印象の問題よ」
菜食主義のデルフィーヌは優しい友人の、親族の前でも自論を展開する。肉はダメ、ヨットもブランコも吐き気がするからダメ。一人は嫌。涙もろく不安定な彼女。

正直友達になりたいとは思えないけど、映画のヒロインとしては何故か放っておけない。
ラストは、孤独と向き合い自分自身を見つめ直した結果かな。とても良かったです。
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