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ロジャー・ラビットのくりふのレビュー・感想・評価

ロジャー・ラビット(1988年製作の映画)
3.5
【酩酊トゥーン】

最近の『トムとジェリー』を見たら、キレイに収まっていても、実写とアニメの握手具合がおざなりな気がしたので、久々にコチラを見返してみた。

比べればコチラはアナログ時代謹製。画と写をマッチングさせようと手間暇かけており、執念さえ感じます。そこに、今でも見惚れてしまう。

トゥーンタウンに、ちゃんと独自の慣性の法則が存在する、と信じられますね(笑)。てか、やり過ぎ。

元々、カートゥーンの動きは常軌を逸していますが、本作は色彩を含め、ドラッグ・ムービーの域にさえ踏み込んでいる。冒頭のアニメなんか異様で、スーザン・ピットの『アスパラガス』でも見ている気分になった。

表向きファミリー映画なのに、貴重な病的体験を得られるのが、本作の魅力だと思います。

お話は、悪役の本当の目的など、よくわかりませんでした。カートゥーンという夢の町と、エコノミック・アニマルを対比させるのは、スピルバーグなら考えそうなことだけど。

ロジャー・ラビットって、あの体型や声など妙に、神経にさわりました。もしや、ジャー・ジャー・ビンクスの元ネタじゃないかとさえ思った。

ジェシカ・ラビットはセクシー通り越して、ぼよよん玩具だ。抱きまくらにしたら燃えるのでなく逆に、安眠できそう。

実写主人公の役は元々、ビル・マーレイが候補だったそうで、彼のほうがより、馴染んだろうとは思う。が、ボブ・ホスキンスにしたことで、カートゥーンからひと足浮き、現実に戻りやすく成っている。

このオッサン、スピルバーグ&ゼメキスから逃れるための、架け橋だ。素晴らしいじゃないか!(笑)

個人的には、この手法でオトナ向け物語としてオモロイのは、『クールワールド』ですね。

<2022.4.11記>
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