三樹夫

推定無罪の三樹夫のネタバレレビュー・内容・結末

推定無罪(1990年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

主人公の同僚の女性検事補キャロリンがレイプされ殺害される事件が発生。選挙活動しか頭にない上司から担当を命じられ調査を進めるが、実は主人公は殺されたキャロリンと不倫関係にあった上に未練タラタラだった。悪いことにキャロリンの自宅から主人公の指紋付きのグラスが発見され、キャロリンの体内に残されていた精液の血液型が主人公と一致し被疑者となり裁判に出廷することとなる。犯人は主人公というビックリなオチのサスペンス映画なのか?しかしキャロリンは他の検事局のスタッフとも肉体関係があり、さらに過去の収賄事件を調べており、しかも担当を命じた上司は主人公が進んでこの事件を担当したいと申し出てきたと証言を偽りだした。この事件の裏には過去の収賄や政治の絡む巨大な陰謀が潜んでいるのか?

とまあ色々な要素てんこ盛りで裁判が進んでいき、キャロリンを殺した犯人はというフーダニットもあるのだが、結局はそこの所はあまり重要ではない。
この映画を観ていて、この主人公って不倫した上にいつまでも未練タラタラのクズだよなと思っていたら、キャロリンを殺したのは主人公の妻というとんでもなく重い不倫の代償を背負って終わった。『危険な情事』もそうだけど、好き勝手に不倫だの浮気だのして、それで軽~くヘラヘラごめんちゃいで終わると思ってんじゃねーよと、とんでもなく重いカウンターをくらう。それ一発のための映画なので、途中の意味ありげに挿入される収賄だの陰謀だのはあまり重要性を持たなくなる。
それにしても上司はクソ上司だし、判事とキャロリンは収賄に関わってるし、主人公は不倫クソ野郎だしで碌な奴が出てこない映画だ。キャロリンは児童虐待を担当したりして正義に燃える検事なんかなと思ってたら収賄に関わってるんかい。

法廷シーンでは推定無罪を勝ち取るためにひたすら注力するというもの。本当に色々な要素の詰め込まれた映画だが、あまりうまく調理できずにとっ散らかった印象がある。法廷シーンは主人公ただの置物と化すし。主人公の弁護士はおそらく過去に主人公と検事と弁護士という立場で法廷で争ったのであろう人物で、その要素単体で見れば燃えそうな要素であるが、主人公と弁護士の関係は結構あっさりしてるし、やはり色々な要素が詰め込まれているが、あまりうまく調理できずにとっ散らかった印象を持つ。弁護士役の人どっかで見たことあるようなと思っていたらアダムス・ファミリーのゴメズの人だった。ずっとつぶらなお目目してて、この映画の中で数少ないまだ好感を持てる人物だった。

字幕に~ので?が多用され、『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』でもなっち字幕で~ので?が2,3回あったし、この映画も絶対なっち字幕だと思っていたら違う人だった。なっち一門なのか、それともある年齢以上の字幕翻訳者には~ので?スタイルが本流なのだろうか。あるいは90年代初頭の字幕界には~ので?翻訳が流行りだったのだろうか。
三樹夫

三樹夫